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TPPへの交渉参加――TPPの得失を吟味しての対応が重要

森永卓郎
2011年 11月8日

TPP交渉への参加の腹を固めた野田総理
 

 2011年11月4日、G20が行われているカンヌで、野田総理はTPPの交渉参加について「最終的に私の政治判断が必要になる」と同行記者団に語り、民主党内での議論にかかわらずTPP交渉に参加する考えを明らかにした。

 党内に反対論の根強いTPP参加に総理が舵を切った一番大きな理由は、TPP参加国の間で具体的な条件交渉が行われる11月12日から開かれるハワイでのAPEC首脳会議までに、日本が参加表明をするようにアメリカから強い圧力がかかっているからだ。

 総理は、まだ結論は出していないとは言うものの、ほぼ確実に農業振興策などとセットでTPP交渉への参加表明をするものとみられる。政府の円高対応と構図がまったく同じだからだ。

 日本の製造業に深刻な影響を及ぼしている円高は、単に無制限の為替介入か日銀による思い切った量的金融緩和をすれば、すぐにでも解決できる問題だ。現に、スイスは無制限介入の表明で1カ月足らずで目標とする為替水準の達成に成功している。日本政府が同じことをしないのは、ドル安を望む米国に配慮しているためだ。野田政権は、円高そのものを止めようとはせず、被害を受ける製造業の資金繰り支援などの円高対策でお茶を濁そうとしているのだ。

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