経産相後任:枝野氏に内定

2011年9月12日 11時40分 更新:9月12日 13時30分

枝野幸男前官房長官=首相官邸で2011年7月11日、梅田麻衣子撮影
枝野幸男前官房長官=首相官邸で2011年7月11日、梅田麻衣子撮影

 野田佳彦首相は12日、東京電力福島第1原発事故をめぐる不適切な言動で引責辞任した鉢呂吉雄前経済産業相の後任に、枝野幸男前官房長官(47)を充てることを内定した。同日午後に藤村修官房長官が発表し、夜に皇居で認証式を行う。首相は13日に開会する臨時国会の前に事態の決着を図るため後任の人選を急いでいた。内閣発足直後の閣僚交代となるだけに、野党は政権批判を強めている。

 枝野氏は、民主党政調会長、行政刷新担当相、党幹事長などを歴任し、1月の菅内閣改造で官房長官に就任した。3月の東日本大震災発生後は、官房長官として福島第1原発事故への対応にあたっており、首相は原子力政策やエネルギー政策に精通している「即戦力」と判断したとみられる。枝野氏の起用について、民主党の前原誠司政調会長は「(原発事故対応などの)経験があるので最適任だと思う」と評価した。

 一方、自民党幹部は「原発対応をきちんとやれず、震災復興に手間取った菅内閣の要だ」と述べ、枝野氏は不適任だと批判。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「原発事故を官房長官として最初から見てきたから、被災者の気持ちに寄り添ってしっかりやってほしい。それにしても、いつも同じ名前が聞こえてきて、限られた人の間でポストのたらい回しという感じがする。民主党の人材不足を感じる」と語った。

 首相は11日、鉢呂氏の言動について首相官邸で記者団に「福島県民の皆様には大変お心を傷つけることになり、深くおわびを申し上げます」と陳謝した。藤村氏は「残念だが、本人の(辞任の)決意が重かった」と記者団に述べた。

 さらに首相は、同日の復興対策本部などの合同会合で「閣僚から不適切な言動があった。スピード感をもって、やるべきことをきちんと実行することによって被災者の期待に応える」と、信頼回復に努める考えを強調していた。

 経産相の臨時代理は11日から藤村氏が務めている。臨時国会では、首相の所信表明後の14~16日に各党の代表質問が行われる見通しで、それまでに専任の経産相を決める必要があった。【笈田直樹、岡崎大輔】

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