タレント・ルー・大柴さん　ドジョウとクラシックと茶道

　ひたすらにぎやかな印象だが私生活は意外に静からしい。

　飼っているドジョウを眺めるのが好きだ。しかもクラシック音楽をかけながらである。

　中学校の音楽の授業で目覚めて以来、クラシック鑑賞は趣味の一つだ。「心が穏やかになるし、外国に行ったようなフィーリングになる」。ごひいきはモーツァルトやバッハだ。

　ドジョウを飼いだしたのは十数年前にさかのぼる。

　当時、人気が衰え仕事がなかった。小学生だった次男と川に行き、網でドジョウやヤゴをつかまえた。その瞬間、小学生のころにほんの数回経験した川遊びの楽しい記憶がよみがえった。「新宿育ちだから、カントリーと違って自然とのふれあいは少なかった」。次男が早々に川遊びを卒業した後も、胴長姿でひとり、ドジョウを狙った。

　５年ほど前、茶道を始めた。「そろそろネクストなものにチャレンジしたい」と考えたからだ。最初は正座もままならず、所作も覚えられなかった。それが一つひとつの所作の意味に気付き始めたら「奥が深くて面白い」と思うように。「昔はあきっぽかったけど、やればやるほど見えてくるものもあるね」

　薄茶をたてた後、出来具合をじっと見る瞬間が好きだ。

　「その時の心が出るんですよ。自分の心を見つめる『静』の自分が、心地いいんだよね」

（文・魚住ゆかり　写真・郭允）

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　１９５４年、東京都生まれ。高校卒業後、欧米を放浪。帰国後、俳優を目指す。９０年代に、怪しい横文字を使う濃いキャラクターで人気タレントに。一時失速するも２００７年、ＮＨＫみんなのうた「ＭＯＴＴＡＩＮＡＩ」が大ヒット、ブログも人気に。映画「ＷＡＹＡ！　宇宙一のおせっかい大作戦」は名古屋、東京などで公開中。