パチンコ ヒストリー 〜 ミステリールーツを探る
庶民の娯楽として親しまれているパチンコは、どのようにして日本に根付き花開いたのでしょうか。数十兆円と言われる巨大産業なのに、その軌跡を記す記念館や博物館がありません。正村記念館(現在は非公開)や、ぱちんこ博物館でその時代を垣間見ることは出来ますがその全貌を見ることは出来ません。特に、パチンコ発祥については明確に残っていないので諸説あります。年代も若干のズレがあり、場所や人物、会社名も様々です。その歴史を探るには、コレクターの収集品を見たり、書物や映像に頼るしかないのが現状です。これだけ大衆文化として受け継がれているのに、業界として足跡を残していない事、歴史を保全していない事が残念でなりません。
電動式になってからのレトロ台は、今でも見つけることが出来ますが、昭和初期〜昭和30年代の台は見つけることが非常に困難です。えっ?そんな昔からパチンコ台ってあったの?って思われた方も多いと思います。地方の温泉やゲームセンターで見かける手打ち台は、ほとんどが昭和40年後期のものです。それでも十分古い台なのですが、それ以前にもパチンコ台は存在していました。そして、諸外国同様ギャンブル性の高さから幾度と無く規制を受け今に至っています。
【 第1章 】 創成期 @
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オールウィン |
パチンコの原型となったものは諸説ありますが
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24cups 1938年
アメリカ製 |
1900年(明治33年)ヨーロッパで誕生した、「ウォールゲーム」で間違えないでしょう。そのフォルムを見れば一目瞭然、ギャンブル性の高い遊戯内容を比べれば納得していただけるでしょう。
欧米で大ヒットしたウォールマシンは実に色々なタイプがあります。サイズは今のパチンコ台より少し小さめです。壁に取り付けて遊戯をしたことから、ウォール(壁)ゲームの名が付きました。
コインを入れると打ち出す玉が出てきます。それをハンドルをはじいて打ち出します。盤面の入賞口に入ると、コインや玉が出てきます。右の画像は、どことなく正村の小物に似ていますね。
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クレセット
1918〜1919年 |
=ピックウィックタイプ=
床置きで、かなり大型です。硬貨を投入する、とスマートボールに使うような大きな玉打が出てきます。
左下のレバーを引くと発射位置に玉が落ちます。右のレバーを引くと玉が発射されます。右側面のレバーを動かして落ちてくる玉を受け止めれば硬貨が払いだされます。
盤面に釘を打つことによって、玉が予想外のところに飛びます。この仕組みは、パチンコに似ていますね。盤面はビロードのような布が貼ってあり、高級感が漂います。当時は、かなり高額で販売されていたようです。
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1931年 WHIZ-BALL社
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こちらは、実際にネクストあるウォールゲームです。
1931年アメリカのシカゴにあるWHIZ-BALLといメーカー作られたものです。
遊戯方法は上記のウォールゲームと同じです。このタイプのものはかなりコンパクトで、小脇に抱えられる大きさです。主に飲食店のカウンターやテーブルに沢山置いてありました。
お茶やお酒を飲みながら、小銭を賭けていたようですね。
いずれも遊戯台から現金もしくは代用コインや玉が出てくるギャンブルマシンです。当然、人々は熱狂しました。世界共通、時代や国は関係ありませんね。そして、当然厳しい規制がかけられ、次々と姿を消して行きました。
このようなウォールマシンは現在もゲーム機として製造されています。そして、驚くべきことに50年以上経ったゲーム機が、今でもアミューズメントパークなどで、現役で稼動しています。当時のように現金には換えれませんけどね。消費され続けていく日本のパチンコと比べると複雑な想いになります。
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<バガテール> |
「バガテール」これもパチンコの原型とされているゲーム機です。
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<バガテール> |
パチンコの原型と言うよりもウォールゲームの原型ではないでしょうか。
バガテールを立てて発展したものがウォールゲーム、寝かせたまま発展したのがピンボール、スマートボールではないでしょうか。
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<コリントゲーム>
1932年(昭和7年) |
ここでよく引き合いに出されるのが「コリントゲーム」です。
これは、バガテールを真似て作った日本製のゲームです。ネクストにも現物がありますので、ご来店の際はご覧になって下さい。縦40cm、横20cmなので、かなりコンパクトですね。家庭用のおもちゃとして生産されていたようです。しかし、一部の大型タイプのものはギャンブルに使われていたようです。スマートボールの原型ですね。
簡単に言うと、バガテール → ウォールゲーム → パチンコ と言う流れではないでしょうか。