うちのSNSより全文引用。
TPP参加に反対する理由(自民党・加藤紘一、11/8朝日新聞)
11/8付けの朝日新聞、自民党の加藤紘一がTPP参加反対の立場で理由を述べていますが、僕と全く同じことを言っていますので、参考までに列記するとともに、それぞれコメント(※印)を書きます。
【農産物自由化の経緯】
「国会議員になって40年、農業政策を中心にやってきた。サクランボの輸入解禁、米国が激しく攻勢をかけた牛肉・オレンジの輸入自由化、ウルグアイ・ラウンドでのコメの市場開放など大きな試練を経験してきたが、今回は何か変だ」
※サクランボは加藤の地元、山形が生産地、牛肉も米沢牛が有名ですね。米の自由化は自民党政権が反対してきましたが、米国が共和党政権からクリントン民主党に政権交代して日本叩きを本格化させ、日本も非自民の細川政権が成立、農家を裏切って米国に擦り寄りました。今回も相手はオバマ民主党政権と細川の系譜を辿る民主党の野田内閣、全く同じ構造です。
【TPP問題の背景】
「震災後に来日した中国の温家宝首相と韓国の李明博大統領、菅直人首相の3人で今後の経済協力を確認した後、米国のTPP攻勢が激しくなった」
「10年後の世界のGDPの1位は米国で、中国、日本、インドの「2、3、4位連合」がアジアに出来ていくのが流れだ」
「米国はアジアに何とか食い込みたいとの焦りから、日本に「早くバスに乗れ」と言っている。米国の意図は、アジアの経済連携に発言力を持つこと。日本にはデメリットの方が大きい」
※これは、【11/7に書いた日記】で指摘したとおりで、経済産業省出身の京大・中野がGDPのウェイトで比較していますが、日本の企業が米国市場でおこぼれを貰う時代は終わり、円高ドル安、現地生産化で全く利益の出ない米国市場から離れて、アジア・オセアニア地域で稼いでいるんですよね。
アジア地域での商取引は日本円での決済が進み、円高・ドル安の影響を受けません。これにケチを付けて日本企業の儲けを横取りしようと企んでいるはずです。
【具体的なデメリットの例・公的医療保険】
「農業が中心課題ではないのに反対論者に仕立て上げられているが、事実と違う。医療や保険業界も混合診療の形でこじ開けられる。日本は誰でも同じ医療を同じ医療費で受けられる国だ。金持ちだけがいい心臓カーテル手術を受けられる国にしてはいけない」
※公的保険には高額療養費の還付制度があり、保険の利かない特別な医療や個室への入院を除けば、民間の医療保険へ加入する必要はありません。それを全く説明せずに、アフ○ック、ア○コなどの外資系保険会社が毎日CMを流すようになりました。【11/7に書いた日記】で指摘したとおり、日本の保険会社の株式は、既に3割を外国法人が占有しており、製薬会社もほぼ同様です。
日本はGDPの6割に公的関与がある「準社会主義国家」であり、税制と社会保障による所得再配分と大都市から地方への財政移転によって格差を縮小してきました。こうした関与を少なくして米国流の新自由主義に委ねれば、格差は拡大するのは明らかです。
【具体的なデメリットの例・小売業】
「大規模小売店舗法改正でも、商店街がシャッター街になり数百万人が商店街から消えた。大きなスーパーは出店規制でたたみ始める。米国の要求は日本社会を壊していく」
※経済産業省出身のイオン岡田はTPP推進論者です。イオンの進出と撤退によって壊滅した商店街は数え切れません。既に卸売業の株式も3割近くが外国法人で占められており、ウォルマートなどの米国資本が参入しやすい環境になっています。
【経済連携のあり方】
「現実に動いている日中韓3カ国、ASEAN(東南アジア諸国連合)では、すでに今経済連携が進んでいる」
「世界基準ではWTO(世界貿易機関)、アジア諸国とはFTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)をやればいい。環太平洋は地域的には広いが、日米以外は小さい経済。TPPは、日米間のFTAと同じことになってしまう」
※ガットのウルグアイラウンドから移行したWTOの協議は、先進国と後進国の対立が激化したため難航しています。一方、WTOへ移行した際にも、今回のTPPで検討項目とされている24の分野でかなり自由化が図られており、その個別交渉は4年以上の期間を費やしました。
自由化によるメリットは否定しませんが、ギリシャ問題でも明らかになったように、貨幣発行などの金融政策や税制はそれぞれの国に自主権があり、2か国間の交渉にならざるを得ません。
11/8の新聞報道では、「今から参加しても遅すぎる」と米国から通告されており、複数国が加盟するマルチの協定であるTPPにおいて、日本に有利な条件設定がされるとは思えませんね。
これは、FTAやEPAによる2か国間の交渉をサボりまくってきた外務省と経済産業省がマルチの協定によって失策を覆い隠そうとするもので、普天間問題などで米国との関係を悪化させた能無し民主党との連携プレイだということです。
【11/7に書いた日記】
TPP「参加すべき」が34% 毎日
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1802627&media_id=2
子ども手当に釣られ、今年1月から実施されている増税に全く関心のなかったバカと一緒だよな(^o^;。
バカはマスコミの報道しか信用しないため、いつも民主党に騙される、自業自得だ。
マスコミが新聞に掲載しない判断材料を2つ掲げるよ、TPP参加国のGDPのウェイトと、主要上場企業の地域別売上・営業利益のウェイトだ。
日本の企業が米国への輸出で儲けていた時代はとっくに終わっているんだよ、TPP参加で得をするのは米国へ輸出しているごく一部の企業と輸入でボロ儲けしている商社だけだ。
円高で一部の製造業が悲鳴を上げているが、商取引で円建て決済が進んでいるアジア諸国に輸出している企業は殆ど影響を受けないよな。低賃金の貧困国から輸入を増やす輸入デフレで賃金は下がり内需は縮小する一方だが、経済成長が著しいアジア・オセアニア地域で日本企業は稼いでいる、アジア・オセアニア地域で日本企業が儲けている分を米国が横取りしようとしているのがTPPだ。
【11/7に書いた日記】
もう待ったなし!よくわかるTPP参加問題
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1802819&media_id=77
日本の業界団体は700以上あるが、外国からの参入規制を撤廃すれば総崩れになる業種もあるのに、農業団体や医師会以外は反対していないよね。この2つは業法規制によって株式会社化が殆ど不可能になっているよ。
外国法人による日本企業の株式保有は、国防上の理由から、防衛機器関連、原子力を含む電力、情報通信、海運などが個別の業法によって制限されている、一方、それ以外の業界はほぼ無制限だ。
株式の持ち合いによって護送船団化していた日本の金融業界や産業界は、バブルの崩壊とともにリスクのある事業法人の株式や不動産の保有から国債などの低リスク資産への保有に切り替えたよ。特に金融機関では自己資本規制が強化されて株式保有が困難になってきているが、この穴埋めをしたのが外国法人だ。
【投資部門別株式保有率(2010年)】
※金額ベース、()内は1987年
金融機関29.7%(42.5%)
うち都市銀4.1%(14.9%)
うち信託銀18.2%(8.6%)
うち生保4.5%(12.4%)
うち損保1.9%(4.0%)
その他金融1.0%(2.6%)
証券会社1.8%(2.3%)
事業法人等21.2%(30.3%)
外国法人等26.7%(4.1%)
個人・その他20.3%(20.4%)
http://www.tse.or.jp/market/data/examination/distribute/b...
外国法人等のウェイトの高い業種をみると、保険業34.5%、電気機器32.5%、輸送機器30.9%、精密機器29.3%、卸売業27.6%、医薬品27.2%、これらの業種は外国法人の意向が反映しやすいということだ。
配当性向の低い日本企業の株式を大量保有しているのは、売買益を狙うハゲタカファンドだけじゃない、日本企業がかつて財閥系列の持ち合いをやったように、国際的な寡占化を進めている企業があるということかな。
特定の国とは限らないが、1/4も株式を保有されていればその意向は無視出来なくなるよ。
このニュースの日記で、「会社は株主のもの」という法人擬制説を唱えている人もいるが、日本の企業は「会社は経営者と従業員のもの」とする法人実在説によって長年経営されてきたね。
株式会社の資本金規制(1千万円)を撤廃した際、労働関係法による雇用規制を強化しなかったおかげで従業員を簡単に解雇する企業が増えたのは間違いないよ。
【多角的貿易体制の発展~GATTからWTOへ~】
自民党政権は米国相手に粘りまくっていましたが、細川連立政権(公明党を除いた今の民主党政権とほぼ同じ)がすぐに裏切りましたね。
【ウルグアイ・ラウンド年表】
▼1986年9月
ウルグアイのブンタデルエステで交渉始まる。期限は1990年末までの4年間と決定。
▼1988年9月
日本、衆参両院でコメの自由化反対の3度目の国会決議
▼1988年12月
モントリオールで中間見直し会合
▼1990年7月
ヒューストン・サミットで新ラウンドの年内合意を確認。農業分野でのアメリカ・ECの対立表面化
▼1990年12月
ブリュッセルで閣僚会議。アメリカ・ECの農業分野での対立解けず合意ならず。交渉延長。
▼1991年7月
ロンドン・サミットで年内合意を表明。
▼1991年12月
ガット・ドンケル事務局長(当時)が包括協定案を提示。コメを含む例外なき関税化を盛り込む。
▼1992年3月
日本など保護削減と市場開放計画の国別表を提出。コメなどは空欄に。
▼1992年5月
ECが共通農業政策の改革で合意。
▼1992年7月
ミュンヘン・サミットで三たび年内合意を表明。
▼1992年11月
アメリカ・ECの農業交渉が基本合意(ブレア・ハウス合意)
▼1993年1月
アメリカ、クリントン政権が発足。
▼1993年6月
アメリカ議会が一括審議条項(ファストトラック)を延長。実質交渉期限は12月15日となる。
▼1993年7月
東京サミットで、4回目の年内合意を表明。サザーランド氏がガット事務局長に就任。
▼1993年8月
細川政権が発足。
▼1993年9月
日本、コメ大凶作が確定。緊急輸入を決定。
▼1993年10月
サザーランド事務局長が来日。年内決着を強調。
▼1993年11月
アメリカ議会、NAFTA(北米自由貿易協定)を批准。
▼1993年12月6日
アメリカ・ECが農業分野で合意。
▼1993年12月8日
ドニ市場アクセス議長が、6年間のコメ関税化猶予を盛り込んだ最終調停案を発表。
▼1993年12月14日
日本、コメ部分開放宣言。
▼1993年12月15日
貿易交渉委員会で、最終の協定案を採択。交渉決着。
終わり。