望まない妊娠とやむをえない中絶。どちらも全ての女性が避けたいと思うもの。しかし、現在日本では年間約22万件という膨大な数の中絶手術が行われていることをご存知でしょうか?
これは厚生労働省の調査によるもので、一日に換算するとなんと約600件にも及びます。実は、こんなにも中絶件数は多いのです。
妊娠を望まない人でも、避妊せずに性行為をすれば妊娠するのは自明のこと。しかし、リプロヘルス情報センターによると、やむを得ず中絶した女性の避妊法は以下の通り。
中絶を選択した女性の避妊法
・コンドーム(既婚52.7% 未婚40.8%)
・膣外射精(既婚19.2% 未婚32.4%)
・オギノ式(既婚23.2% 未婚16.9%)
・ピル(既婚0.2% 未婚0%)
なんと、既婚で中絶した女性の2人にひとりはコンドームによる避妊をしていたのです。
■なぜコンドームで妊娠?
「なぜ穴も開いていないコンドームを使って妊娠してしまうのか?」という素朴な疑問ですが、産婦人科医の須藤なほみ先生の自著『Dr.半熟卵のつぶやき 産婦人科医の日記』によると、コンドームの完璧な使用の難しさについて言及されています。
コンドームの失敗率はもともと3〜14%。これは100人の女性が一年間同じ避妊法を続けた場合妊娠する確率で、100人中3〜14人の女性がコンドームで避妊したとしても妊娠する、ということになるそうです。
失敗の原因として、コンドームをつけるタイミングが遅かったり、挿入中、挿入後に破れたり精液が漏れてしまい、失敗に至るケースが多いとのこと。
かと言って、コンドームは必要ないわけではありません! 性感染症予防のためにはコンドームを正しく使うことが不可欠な条件になります。
コンドームについて須藤先生は、
ピルで避妊&コンドームで性感染症予防、これをダブルダッチメソッドと言って、一番安全な方法として推奨されています。
と、ピルとの併用を勧めています。
望まない妊娠で産むのも中絶するのも女性の方です。避妊を男性任せにせず女性が主体的にでき、かつ失敗率0.1%以下と言う確実性を誇る避妊方法が、低用量ピルなのです。
“コンドームを使っていても妊娠する”ことが明らかな今、望まない妊娠で悩む前に、今の避妊方法や避妊への考え方を見直してみてはいかがでしょうか?
【参考】
※ 須藤なほみ(2006)『Dr.半熟卵のつぶやき 産婦人科医の日記』 ぜんにち出版