「会社ぐるみと言われれば、そうかもしれない」。オリンパスの高山修一社長は8日の会見でそう述べ、損失隠しが組織的に行われていた可能性を示唆した。同社が不正経理を認めたことから、証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで調査を開始。同社は損失隠しの手口を明らかにしていないが、関係者によると、ペーパー会社などに簿外債務として移す「飛ばし」と呼ばれる手法が取られたとみられる。
会見によると、同社は90年代から有価証券投資などで生じた損失を隠蔽(いんぺい)。08年までのM&A(企業の合併・買収)に伴う投資助言会社への支払いや買収資金を、損失穴埋めに充てていた。隠蔽した損失額は明らかにしなかったが、投資助言会社への支払いに約660億円、買収資金には約734億円が充てられたことから、数百億~1000億円の規模だった可能性がある。こうした損失は毎年提出する有価証券報告書に記載されていない可能性が高い。
隠蔽の手口についても同社は説明を避けたが、過去の同種事件では海外に設立したペーパー会社などに損失を付け替える「飛ばし」という手法が横行している。関係者によると、オリンパスでも同様の処理が行われたとみられる。
監視委幹部は「今どきこんなことをやっている会社なんてない」と驚きを隠さない。監視委は組織性や常習性の有無▽隠蔽など悪質性の認識▽他の容疑での立件の可否--などを総合的に調査し、東京地検特捜部への刑事告発を視野に入れた強制調査に移行するか判断する模様だ。【川名壮志】
毎日新聞 2011年11月9日 2時35分
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