ディープインパクトとアメリカ血統
先週の平場で注目したいのは、日曜東京2Rの3歳未勝利戦(ダ1600m)を勝ったカドデュソレイユです。初戦ということもあり、ゲートはのっそり。前半は後方に控え、直線で外に持ち出すと真一文字に伸びて差し切りました。
アグネスタキオン産駒でここまでデビューが遅れ、ダートを使ったことからも察しがつくように、脚もとが丈夫ではありません。しかし、走る才能はあります。ゴール前は飛んでいました。父アグネスタキオンと相性のいい Ribot 系(Alleged)が2代母の父に入り、全体のバランスも良好。昨年の「栗山ノート」でも上位に挙げた好配合馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103228/
この馬の半妹シュプリームギフトは、ディープインパクト産駒のデビュー第1号かといわれている馬です。今年の「栗山ノート」で取り上げ、公開POGや赤本でも指名しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103205/
ディープインパクト産駒は、アメリカ血統をどう入れるかが配合の鍵ではないかと思います。ディープの母系は上品なヨーロッパ血統が主体となっています。配合相手にもヨーロッパの血が強い場合、産駒にはスピード面の不安と、杞憂かもしれませんが馬体が柔らかくなりすぎる懸念が出てきます。ディープインパクト産駒は小柄でやや細身というタイプが目に付くので、アメリカ血統をしっかり入れることで筋力の強化と馬格の充実を図り、スピード面の不安を解消できるという効果が期待できます。ただし、そのサジ加減は、初年度だけに目分量とならざるを得ません。産駒がデビューしていない段階では、種牡馬が本来的に持っているスピードとスタミナに関して、正確に把握することが難しいからです。
シュプリームギフトはそのバランスが良好と感じています。Pocahontas 5×6、Attica≒Dunce 6×6は味がいいですね。
http://www.pedigreequery.com/attica
http://www.pedigreequery.com/dunce
┌ Mahmoud
┌○┤ ┌ Teddy
│ │ ┌○┤
Attica ―┤ └○┘ └ Plucky Liege
│ ┌ Pharamond
└○┤
└○┐
└ Alcibiades
┌ Pharamond
┌○┤
┌○┤ └ Alcibiades
│ │ ┌ Teddy
Dunce ――┤ │ ┌○┤
│ └○┘ └ Plucky Liege
│ ┌ Mahmoud
└○┘
ディープ産駒の配合を考える際、父のどの部分を強化すればいいかというと、現段階では Alzao の母 Lady Rebecca ではないかと考えています。Pocahontas も Attica も、Lady Rebecca に含まれる血です。
もっとも、このパターンがイマイチだった場合、それに固執することはありません。現実に即して考えを変えていきます。ディープ産駒がデビューし、走っていくにつれ、日々新しい発見があり、認識の変更を迫られることでしょう。
よく見た訳ではないのですが、今年のPOG本で山野さんがディープよりもハーツクライの方が血統としては格上のような内容があったような気がするのですが、この2頭比べた場合大物を出す確率はどちらの方があるとお考えでしょうか?馬の好き嫌いで言うと個人的にはハーツクライの方が好きですが・・・。
投稿: Bucchi | 2010年5月27日 (木) 20:39
大物の定義が「年度代表馬クラス」なのか「重賞クラス」なのかによっても違ってきますが、現状の繁殖牝馬の質を考えると、いずれの場合においてもディープインパクトのほうが確率が高いと思います。ただ、産駒が走っていない段階における種牡馬の能力評価ほど難しいものはなく、仮にハーツクライが成功し、ディープインパクトがイマイチだったとしても驚きません。じっさいに馬を見ていらっしゃる方からは「見た目だけならハーツクライ産駒のほうがいい」という意見を頂戴することが多いですね。周知のとおりディープ産駒は小型に出るものが少なくないようです。
投稿: 栗山求 | 2010年5月27日 (木) 22:56