子どもを持つ親たちは最近、法務部(省に相当)から各家庭に郵送されてきた「私たちの町の性犯罪者」リストを見て、背筋に寒気が走った。性犯罪者の顔写真と共に、犯行の手口が詳しく記載されていたからだ。郵便を受け取ったある保護者は「性犯罪者が自分の町をうろついているという事実を知り、夜も眠れなかった」と話した。
性犯罪者のリストは、「性犯罪者のお知らせ」サイトでも閲覧できる。市民は「自分の子どもの周りに性犯罪者がいたら」と震えながら画面をクリックする。家の近所に性犯罪者が住んでいることを知った保護者たちは、子どもの通学路を変更するなど対応に苦慮している。学校まで遠回りになっても、性犯罪者の居住地域を通るのは避けたいからだ。
保護者たちのこうした反応はデリケートすぎるだろうか。韓国の現実を見れば、保護者たちの不安には根拠があるということが分かる。大検察庁(最高検察庁に相当)が今月16日に公表した「2011年犯罪分析統計」によると、韓国では13歳未満の子どもに対する性犯罪(痴漢などのわいせつ行為や性的暴行)が、1日当たり平均3.2件も発生していることが分かった。被害者が13歳以上の未成年や成人のケースも含めると、全件数は1日当たり平均54.6件に達する。韓国のどこかで、1時間に2.3件の割合で性犯罪が発生しているのだ。性犯罪の場合、司法当局が把握して統計上に表れるのは10分の1にすぎないともいわれており、実際には、韓国では1日に500件以上の性犯罪が発生しているとみていいだろう。1年に換算すると18万2500件、5年間では累積件数が90万件以上に達することになる。
こうした実情にもかかわらず、性犯罪に対する韓国社会の態度は、不思議なほどに寛大だ。むしろ責任を被害女性に転嫁するような風潮もある。多くの国民の怒りを呼んだ映画『るつぼ』もそうだ。映画のモデルとなった光州の聴覚障害者向け特殊学校「インファ学校」の関係者たちは、5年にわたり罪の意識もなく障害を持つ児童・生徒に性的暴行を加え、加害者の一部は再び同校に戻っていたという。こうした事実も、性犯罪を軽視する社会のムードと無関係ではないはずだ。