会計検査院は、国の防災対策に重点を置いて国の補助金のむだ遣いや有効に活用していない基金などを検査した結果、4283億円余りの公金の扱いが不適切だとした報告書をまとめました。
会計検査院は、国の補助金のむだ遣いなど合わせて568件、4283億円余りの公金の扱いが不適切だとする平成22年度の報告書をまとめ、7日、野田総理大臣に提出しました。ことしの検査は、3月の東日本大震災を受けて安全や安心への関心が高まっていることから、国の防災対策に重点を置いて進められました。このうち、耐震補強をした岸壁の調査では、古い基準で補強したあとに耐震性が十分かどうか必要な調査をしていない岸壁があることが分かり、国土交通省に改善を求めました。土砂災害の「警戒区域」についての調査では、全国のおよそ6万2000か所で、事前の調査が終わっているのに警戒区域に指定していない実態があり、指定を進めるよう国土交通省に要請しました。さらに原子力発電所の建設が計画されている自治体に支払う交付金657億円が将来使われるめどのないまま積み立てられていたことが分かり、必要のない積立金だとして経済産業省に見直しを求めました。会計検査院の重松博之院長は「財政状況が厳しいなか、国費の削減はもちろん、資金や基金の有効活用もしっかりと考えてもらいたい。今後は震災や原発事故の対応で多額の国費が投入されることから、それらの事業についても検査したい」と述べました。