【ソウル神屋由紀子】ソウルの住民が、市内の道路から通常より高い放射線量が検出されたと訴え、朴元淳(パクウォンスン)市長が住民対象の健康調査を表明する騒動となっている。福島第1原発事故以降、韓国でも市民による放射線量測定の動きがあり、市は不安払拭(ふっしょく)に躍起だ。
1日、市北東部の住宅街の道路で自主測定した男性住民が「通常の10倍高い放射線量を検出した」と地元消防署に通報した。政府機関の原子力安全技術院が2日に現場調査したところ、通常値の10倍にあたる毎時1・4マイクロシーベルトを検出し、舗装に使われたアスファルトの材料に放射性物質が含まれていたと推定。韓国原子力安全委員会は「日常生活に支障はない」と評価している。
日本文部科学省は学校校庭の除染の目安を同1マイクロシーベルトと示している。
一方で環境団体が現場で同約3マイクロシーベルト検出したと訴えたことから、市はアスファルト舗装を除去し、問題の道路と同じ2000年に建設された市内全域の道路の放射線量測定を行う事態となっている。
朴市長は6日、現地視察し、「市民の不安を解消するのが市の責任。異常数値が検出された地域住民を対象に疫学調査する」と述べた。7日付東亜日報は「放射能におびえて道路から子どもがいなくなった」と報じた。
=2011/11/08付 西日本新聞朝刊=