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社説

自転車対策 車道走れる環境整備を(11月6日)

 自転車の車道走行を徹底させるため、警察庁が本格的な指導と取り締まりに乗り出すことになった。

 道路交通法で、軽車両となっている自転車は原則車道を通らなければならないが、実態との乖離(かいり)が目立ってきたからだ。

 規則を知らなかったり、知っていて歩道走行時のルールやマナーを守らない利用者も増えている。歩行者との衝突事故やトラブルが各地で起きており、警察庁も事態をこれ以上放置できないと判断したようだ。

 だが、車道を走ることで、自転車が危険にさらされるのであれば元も子もない。

 警察庁は国土交通省と連携し、自転車が走りやすい車道の整備を進めていくという。こちらの取り組みも急いでもらいたい。

 自転車の歩道通行が「例外措置」として認められたのは1970年。急増する交通事故対策として一時的な措置だったはずだが、いつしか歩道走行が一般化してしまった。

 2007年の道交法改正で、お年寄りや子供の歩道走行を認めるなどいくつか例外規定が設けられたが、周知されていないのが実情だ。

 今後は警察官が街頭で積極的に指導・警告していくという。歩行者を守るためには、一定程度の取り締まり強化はやむを得まい。

 ただ、突然の方針転換が利用者を戸惑わせ、トラブルになるようでは困る。状況に応じて臨機応変で、多くの人が納得できる丁寧な説明、指導も警察には求められる。

 自転車を利用する側もあらためて正しい乗り方や規則を学び、順守を心がけたい。手軽な乗り物が時に凶器となることを自覚すべきだ。

 販売時のパンフレット配布など意識改革に向けた工夫が必要ではないか。関係機関は学校や職場、地域での講習会も企画してもらいたい。

 自転車が絡んだ交通事故の8割が車との衝突だ。ドライバーの心構えも当然問われる。邪魔者扱いをせず十分に配慮して運転してほしい。

 国は08年から、北海道を含む全国98カ所で専用道や専用レーンを整備するモデル事業を始めた。

 整備済み区間での調査では、事故防止に効果があることが裏付けられたという。費用面など課題はあるが事業は進めなければならない。

 北海道では最近、冬道での自転車が目につく。専用のスパイクタイヤも出回っているとはいえ、運転にはよほどの注意が必要だ。

 転倒など予期せぬ出来事が夏場以上に起こりうる。除排雪が追いつかず、車道も狭くなる。そんな環境下で果たして安全走行ができるのか。

 間もなく降雪期を迎える。冬道では自転車に乗らないのが賢明だ。

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