ルールやマナーを無視して歩道を走る自転車が増え、事故も多発している事態を受け、警察庁は取り締まり強化など総合対策をまとめた。
これまで自転車の歩道走行など軽微な違反は大目に見られてきたが、今後は指導や警告でルールなどを徹底させ、飲酒運転など悪質で危険な運転は交通切符の対象とするよう全国の警察に指示した。
歩道でスピードを出したり、ベルを鳴らして歩行者をどかすような走行をした場合、警察官は車道を走るよう指導する。無灯火や携帯電話の使用、イヤホンで音楽を聴きながらの運転なども指導の対象だ。
無謀運転を取り締まるのは、事故を防止するためにも必要だろう。だが、「自転車は車道が原則」といったルールが行き渡っていない現実もある。この機会に法令や規則の周知徹底を図るべきだ。
昨年、全国で起きた自転車絡みの事故は15万件を超え、交通事故全体の約2割を占めた。乗車中の死者は2008年以降500人弱で推移している。
鹿児島県内では1120件発生し、今年は9月末までに738件を数える。このうち、自転車と歩行者が関連する事故は昨年が20件、今年は9月末までに14件発生している。死亡事故は2004年以降起きていないものの、油断は禁物だ。
「ピスト」と呼ばれるブレーキの付いていない競技用自転車で公道を走り、摘発される事例が急増しているのも見過ごせない。県内でも今月、鹿児島市のアーケードを走っていた男性が県内で初めて摘発された。
自転車は道路交通法で「軽車両」と位置づけられ、車道の左側を通行するのが原則であることを徹底する必要がある。歩道通行が例外的に認められているのは(1)自転車通行可の標識がある(2)70歳以上の高齢者や13歳未満の子どもなど、車道を走ることが危険な者が運転する(3)車道や交通の状況から安全確保のためやむを得ない−場合に限る。
一方、東日本大震災で帰宅困難者が都内の駅にあふれたこともあって、通勤や通学に自転車を使う人が増えたという。自転車は、子どもから高齢者まで手軽に使える乗り物であることを再確認させられた。
自転車は健康づくりや環境対策などの面でも役立つ。悪質な運転者の取り締まりは当然としても、歩行者と自転車が安心して共存できる社会にしていくことが大切である。
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