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【社説】

暴走自転車 歩道では凶器と知ろう

 自転車は車道−。安全を考えれば当たり前のことを徹底する対策に警察庁は重い腰を上げた。自転車と歩行者の事故が深刻化している。自転車は歩道では走る凶器だ。その利用にもルールがある。

 信号無視、右側走行、飲酒運転、耳にイヤホン、片手に携帯電話、ブレーキを外した自転車…。

 これらの行為を車の運転者がしたら、事故を起こすのではないか。自転車もルール違反になるが、平気でやる利用者がいる。

 自転車は「軽車両」だ。車道の左側通行が原則である。だが、歩道通行が一般化している。自転車通行ができる歩道もあるが、歩行者優先なのにわが物顔だ。歩道通行は高齢者や子どもに限るなど「例外」である。

 最近は自転車ブームに加え東日本大震災後に利用者が増えた。歩行者との事故も増加傾向だ。

 警察庁が打ち出した総合対策は、取り締まり強化を柱に安全教育の推進、専用レーンなどの通行環境の整備などに取り組む。

 取り締まりはやむを得ないが、同時に取り組む対策が重要になる。小学校では防災や防犯教育は熱心だが、交通教育は不十分である。身を守る術(すべ)としては同じだ。

 車両運転者に対しても同様で、道路を自転車にも譲る意識をもってほしい。車が左折する際、実は車道上に見えている自転車より、歩道から交差点に飛び出してくる自転車の方が見落とされて事故の危険がある。自転車に対する安全知識の普及は大切である。

 保険加入も普及させるべきだ。事故で相手に障害を負わせた自転車利用者に約五千万円の賠償支払いを命じた判決もでている。

 通行環境整備は徐々に進んでいる。例えば名古屋市中心街で整備された専用レーンは、歩道と車道と柵で区分されて分かりやすい。

 だが、対面通行で事故も懸念される。交差点では横断歩道脇にある自転車横断帯に誘導するため交差点を直進して渡れず、左折車から見ると直進するように見えず事故の原因になりかねない。

 中途半端な整備は逆に危ない。車道に線を引くだけの専用レーンが走りやすく整備も容易だ。荷下ろしの車の路肩停車が制限されることから反発もある商店街などには、粘り強く理解を得てほしい。

 今回は子どもを乗せ歩道を走る母親らは取り締まらない。事故を減らすには歩行者、自転車、車の通行空間分離が不可欠である。将来的にはそこまで徹底すべきだ。

 

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