■現代自のR&D投資、トヨタの6分の1
ディーゼルエンジン部門も、現代・起亜自が相当遅れている分野だ。欧州の場合、環境配慮型のディーゼル自動車のシェアは50%以上に達するが、韓国は1%にすぎない。現代・起亜自は、ディーゼルエンジンの中核を担う燃料噴射装置などに関する技術がないため、競争力がないのだ。
自動車部品研究院のある関係者は「現代・起亜自がディーゼルエンジンを搭載した乗用車を大量生産することができないのは、騒音と震動を完璧に制御できないからだろう」と指摘する。
しかし、自動変速機の分野は世界的な水準にまで成長したとの評価を受けている。現代・起亜自は8段変速機に続き、近く10段変速機も販売する計画だ。ただ、自動と手動の長所を結合して燃費を改善するデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)に関する技術は、まだ足りない。最近発売した「ベロスター」に初めて搭載したものの、高い評価を得ることはできなかった。
自動車の専門家は「現代・起亜自が長期的な競争力を維持するためには、研究開発(R&D)に対する投資をさらに増やすべきだ」と指摘する。現在のR&D投資は、海外メーカーに比べてあまりにも少ない。2009年にトヨタ自はR&Dに67億6800万ユーロ(現在のレートで約7100億円、以下同じ)を投入し、世界トップとなった。2位のフォルクスワーゲンも57億9000万ユーロ(約6080億円)だった。しかし、現代自はトヨタの6分の1程度にすぎない11億8800万ユーロ(約1200億円)で、15位にとどまった。研究部門の人員も8000人(修士・博士クラスの2500人を含む)で、トヨタ自(約2万人)に比べて大幅に少ない。
こうした状況について、産業研究院・主力産業チームでチーム長を務めるイ・ハング氏は「現代・起亜自はR&D投資を増やして技術力の確保にさらに力を注ぐべきだ。量的な成長にばかり目を向けていては、現在の好況も短期間で終わってしまう」と警告した。