【ジャカルタ佐藤賢二郎】インドネシア・カリマンタン島で住民が、絶滅の危惧があるオランウータンを殺害している実態が明らかになった。多くは食用のための殺害で、米国の環境保護団体「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー」(TNC)は過去に計691頭が殺害されたとする調査結果を公表した。
調査はTNCを含む計19団体が08年4月から翌年9月にかけ、カリマンタン島の計698集落(住民約7000人)を対象に実施した。1日に発表された調査結果では、殺害理由は食用が半数を超え、襲撃される恐れがあるため▽肉から伝統薬を作るため▽ペットとして販売する子供のオランウータンを捕まえるため--など。殺害時期は不明。
オランウータンはインドネシアのカリマンタン、スマトラ島にのみ生息。パーム油の原料となるアブラヤシ農園の大規模開発や違法伐採などで生息地の熱帯林が激減した影響で、世界自然保護基金(WWF)によると、カリマンタン島の生息数は現在約5万頭と60年前に比べて半減した。
TNCのプロジェクト担当者は「環境破壊で生息地を追われたオランウータンが集落に近づき、人間との摩擦が増大している」と指摘。「現在生息地の3割しかない保護区を拡大しなければ絶滅してしまう」と訴えている。
毎日新聞 2011年11月7日 10時27分(最終更新 11月7日 11時57分)
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