発展途上国でのF1開催の危うさ： 韓国 中国 トルコ インド...

インドGPはF1カレンダーにとって素晴らしい追加であると判断されたが、数年経たなければ本当の判定を下すことができない。

エキサイティングなレースではなかったかもしれないが、素晴らしいイベントだった。インドGPは、ヴィジェイ・マルヤとヴィッキー・チャンドックのような指導者によって推進されたインド国内のF1に対する情熱と熱意を実証した。初のインドGPが2007年ハイデラバードで開催されるという当初の契約が2003年に結ばれたことを考えると、長い道のりだった。

その後、開催地候補としてムンバイとハイデラバードが挙がり、両会場とも2009年のグルガオンに負け、ハイデラバードの敷地はITビジネス・パークになった。しかし、デリーのグレーター・ノイダにあるブッド国際サーキットがイベントを開催したため、グルガオンのレースも実現しなかった。

2010年デリーでのコモンウェルス・ゲームズでは最後まで必死に準備をしたものの、建設工事の大半が話にならないくらい遅れたり、一部建物が崩壊したりした。そのあとのインドGPもさらなる「デリー惨事」になるのではないかという懸念があった。当時の新聞にはコモンウェルス・ゲームに関する恐ろしい見出しが踊り、ブッド・サーキットも泥だらけの状態だった。

コモンウェルス・ゲームズからの教訓を肝に銘じたおかげで、F1サーカスが町にやって来たとき、会場はほぼ用意ができていた。ギリギリだったがなんとか完成した。



その2週間前、我々は韓国の2回目のレースのために霊岩サーキットにいた。ここも工事の問題に悩まされたサーキットであり、レース開催を承認する査察が大幅に遅れた。しかし1年後、韓国では事実上何も変わっていなかった。

（2010年以来ごみ箱に残されていたごみを見つけた以外に）F1メディアがショックを受けたことは、イベントが後退したことだった。土曜日の観客は辛うじて数えるほどで、日曜日のグランドスタンドは半分空席だった。サポートレース・プログラムがなかったことも意外ではなかった。サポートレースのガレージには、そう、本当のマシンは1台もなかった。

韓国の自動車メーカー、起亜、現代、GM大宇などを考えると残念である。F1のスターが（韓国お得意の）お手頃価格の車に乗って、サルーンカー・チャレンジで爆走してもよかった。パドックには少なくとも12人のリザーブ・ドライバーがいて、メディアには元F1ドライバーが数人いるのだから。

これは、草の根モータースポーツの歴史がほとんどない国々で、政治的トロフィとして建設されたサーキットにおける問題である。グランプリは政治的プライドのバッジであり、国（韓国の場合は地方）の人を出し抜く術のシンボルである。経済ではG20があるが、これはF1-20なのである。

それが、トルコGP、中国GP、韓国GPの長期的展望が健全に見えたことがない理由である。なぜなら、サーキットは経済的な厄介物であり、グランプリとグランプリの間、国内モータースポーツのために利用されることがほとんどないからだ。そしてF1を推進した政治家たちは辞職させられた。バーニーは、シルバーストンは新サーキットの一部が1年で建設したような施設をつくるのに25年かかったと冷笑しているが、それでもシルバーストンでは今後20年も50年もレースが開催され続けるだろう。1年後、我々は韓国ではもうレースをしていないかもしれない。

新サーキットのもうひとつの大きな利点は、首都に近い場所に設置できることである。トルコはイスタンブールに近い割に盛り上がっていないかもしれないが、韓国は地方にトラックがあることで本当に不利である。だからこそデリーは成功したし、ニュージャージーも勝ち組になるだろう。



バーニーは、首都におけるF1レースというアイデアが気に入っている。モスクワでも川中の島で開催される予定があり、ロンドンのハイドパークを回るレース案があり、ローマでの計画もあった。しかし、いずれも実現しなかったが、ニューヨークの隣で開催されるレースは実現する。マンハッタン島でのレースではないが、それが背景になるので同じように素晴らしいのだ。

これがオースティンでのアメリカGPにどのように影響を与えるかはまだわからない。ヘルマン・ティルケは、テキサス州のトラックの見込みについて次のように語っている。「オースティンでは、我々が利用できる自然の高低差と丘があるので有利だ」と説明した。「とても速いサーキットになるだろう」

確かにオースティンはアメリカのレース・サーキットとしては最高のものになる可能性があり、セルジオ・ペレスやパストール・マルドナドのファンが来る場合もそれほど遠くない。しかし、ニュージャージーでのレースがオースティンの観客を奪うことは間違いないが、ヘルマンが考えるように見応えがあるのなら、筋金入りのF1ファンにはアピールするだろう。オースティンを宣伝している会社が事業を続けることを前提とすれば、見通しは明るい。しかしロシアのサーキットについて同じことが言えるかどうかは判断し難い。



ロシアのF1サーキットを建設するソチは、黒海の夏の避暑地としてロシア人に人気があるかもしれない（冬季オリンピックの会場になった理由は誰にもわからない）が、必ずしも多くの観客が来るとは限らない。ソチは2020年までレースを開催する予定で、その利点はヴィタリー・ペトロフとマルシア・チームの存在、そしてセルゲイ・アファナシエフのような次のロシア人ドライバーが控えていることである。

石油とガスの埋蔵資源のないトルコや韓国とは異なり、ロシアGPはスポンサーには事欠かないだろう。したがって、レースは少なくとも最初の6年は継続されるかもしれない。そうすればティルケ・デザイン社は今後数年間は仕事を続けることができるだろう。ヘルマンはデリーで素晴らしいサーキットを設計し、インドの人々はそれを喜んだ。オースティンとソチも、そうなることを祈ろう。

-Source: Planet-F1
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