東日本大震災と福島第1原発事故の影響で4月から延期されていた福島県議選(定数58)は10日告示される。しかし事故とその影響は収まらず、20日の投開票まで異例ずくめの選挙戦が続く。毎日新聞は立候補予定者87人にアンケートを実施。放射性物質に汚染された廃棄物の「中間貯蔵施設」受け入れの可否を聞いたところ、7割超が「県内に整備せざるを得ない」と答えた。建設受け入れを求める政府に対し、佐藤雄平知事は判断を留保しており、事故の処理を含む今後の政策を左右する選挙になる。【まとめ・種市房子】
87人は既に立候補の意向を正式に表明するなどしており、全員からアンケートの回答を得た。内訳は現職44人▽元職4人▽新人39人。
中間貯蔵施設が建設できるかどうかは、県内の除染作業のスピードにかかわる。除染を急ぎたい政府は先月、建設場所を来年度中に決め、3年後をめどに運用したい考えを提示。しかし、地元には最終処分場にされかねないとの警戒が強く、佐藤知事や県議会の判断が焦点となっている。
この問題についてアンケートで尋ねた結果、65人が「県内に整備せざるを得ない」と答え、受け入れやむなしの空気が濃いことが分かった。65人の内訳は現職37人▽元職2人▽新人26人--となっている。
理由を4項目から選択してもらったところ、最多の39人が「早急に除染を進めるにはやむを得ない」と回答。次いで23人が「他県に運搬するのは現実的ではない」を選び、この二つが大勢を占めた。反対に、中間貯蔵施設を「受け入れられない」と答えたのは4人。「その他」が18人だった。
また、原発立地を容認してきた県議会の責任の有無を聞いたところ、6割近い49人が「責任の一端はある」と答えた。ただ現職に限ると「ある」は約4割の20人。新人は約6割の26人が「ある」と答え、現職と新人の温度差が際立った。このほか、全体の24人が「議会のチェックには限りがある」と答え、「その他」は14人だった。
福島第1原発周辺の自治体では有権者も役場の機能も移転を余儀なくされ、20日は県議選に、2町長選、8市町村議選の投開票が重なる。綱渡りの選挙を強いられる各選管は「何とか乗り切ろう」と準備を進めるが、有権者に戸惑いも広がる。
「こんなところで選挙をするとはなあ」。会津若松市にある仮設住宅で、志賀国夫さん(81)が苦笑した。ここに志賀さんら警戒区域の大熊町と双葉町から避難した26世帯が暮らすが、会津若松市選挙区(定数4)の候補者ポスター掲示板が立っているからだ。
告示前には大熊町と双葉町を含む双葉郡選挙区(定数2)の掲示板も置かれる。二つの掲示板が混在することになるが、「うちの選挙区の候補者は、ここに来られるのかね。まあ無理だべ……」。志賀さんがつぶやいた。
県議選は10日間。通常の都道府県議選より1日長い。選挙の周知のほか、避難した人の不在者投票が増え、事務量がかさむと県選管が想定したためだ。
一方、役場機能を移した双葉郡選挙区を含む計9町村は、ほかの自治体に投開票所を設けざるを得ない。このうち浪江町選管の開票所は移転先の二本松市にある結婚式場。式場に問い合わせたところ「20日は仏滅で空きがある」。
町議選との同日選になる双葉町選管は役場機能を移した埼玉県加須市で開票作業を行うが、投票所は避難した人が多い郡山市にも置く。そこから投票箱を約3時間かけて加須市に運ぶため、車両の警護を福島県警に要請する。町選管の担当者は「投開票が無事終えられるよう全力を尽くすだけです」と話した。【種市房子、森有正、泉谷由梨子】
毎日新聞 2011年11月6日 12時55分(最終更新 11月6日 12時57分)