G20 介入に理解得られず 日本埋没、円買い攻勢の恐れ
産経新聞 11月5日(土)7時55分配信
【カンヌ(フランス南部)=本田誠】主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、野田佳彦首相は歴史的な円高を阻止する円売りドル買い介入に理解を求めた。だが、会議は欧州危機一色となり、日本の訴えは埋没し介入へのお墨付きは得られなかった。ギリシャの政局混乱などで危機が拡大すれば、投資家のリスク回避が強まり、消去法で安全とみなされた円を買う動きが加速し一段と円高が進む恐れがある。欧米には、市場を操作する介入への反発が根強く、結束を乱す日本の単独介入が制約され、円高を阻止する手立てが失われる懸念が強まった。
「過度な動きや無秩序な動きを引き起こさないよう通貨安定のための協力を強化することが重要だ」。野田首相は会議で、先月31日に実施した7・5兆円に上る過去最大の介入に理解を求めると同時に、協調介入への期待感もにじませた。だが、各国の反応はゼロ。介入への批判は免れたが、日本の立場に理解が得られたとは言い難い。
安住淳財務相も3日、ガイトナー米財務長官と会談し「投機的な動きへの対応」などと、介入の理由を説明したが、長官は賛同も反対もしなかったという。
先月下旬に円相場は連日のように戦後最高値を更新し、31日早朝に1ドル=75円32銭まで上昇。「防衛ラインの75円50銭を突破され、際限なく円高が進む恐れが高まった」(関係筋)ことから介入に踏み切った。だが、事前に欧米当局から了解を取り付けられず、「見切り発車」だったとみられている。
日本は今回の会議で欧州金融安定化基金(EFSF)が発行する債券の購入継続などで欧州を支援する見返りに介入の容認を引き出す戦略だったようだ。だが、それもギリシャの国民投票問題で、包括対策そのものが揺らぎ「皮算用」に終わった。
4日の外国為替市場で円相場は、介入効果もあり、1ドル=78円前後で推移している。だが、政局の混乱などで、ギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)懸念が再燃すれば、再び円買いが強まり、「最高値を試す展開になる」(外為ディーラー)との見方は根強い。
欧米は輸出に有利な自国通貨安を望んでおり、日本が自国の都合だけを優先する介入を繰り返せば、厳しい非難にさらされるのは必至だ。
国際協調に加え、資金面でも制約がある。介入資金を調達する政府短期証券の発行枠は残り23兆円しかない。15兆円の積み増しを盛り込んだ平成23年度第3次補正予算案が成立しても、31日に匹敵する介入を繰り返せば5日で底を突く。市場に「日本は介入できない」と見透かされると、投機筋に円買いドル売り攻勢を仕掛けられ、円高が一気に進む恐れがある。
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最終更新:11月5日(土)8時35分
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