えんグループ取締役・レイモンド・ンさん1966年香港生まれ、沖縄育ち。米フロリダ大学でシステムエンジニアリングを学んだ後、米オーチス・エレベーターに入社。2000年にシンガポールで弟夫妻とともに飲食店経営のえんグループを設立。趣味は沖縄育ちらしくダイビングなどのマリンスポーツ。ゴルフやテニスもこなす。 人海戦術で首位目指す2011/11/3 週末の午後、クアラルンプール(KL)市内の商業施設パビリオン内の東京ストリートにある「えん銀座カフェ」は、食事やできたてのパンにコーヒーを楽しむ人々で混み合っていた。この店を経営しているのが、えんグループのレイモンド・ン取締役だ。 レイモンドさんは広東省出身の父と上海出身の母の元に、香港で生まれた。8歳のとき、当時、沖縄で外国人向けの滞在ビザ発給規制が緩和されたことを機に、父がビジネスチャンスを求めて日本へわたることを決めた。ここからレイモンドさんの一家そろっての沖縄生活が始まる。 沖縄では、小学校2年生からインターナショナルスクールへ通った。当初は日本語はできなかったが、学校内には様々な国出身のクラスメートがおり、英語が共通語だったためさほど不自由は感じなかった。「学校外での友達ができ、交流していく中で少しずつ日本語を覚えていった」と今では流暢な日本語で話す。 ■エンジニアから一転 沖縄で高校卒業の18歳までを過ごした後、米フロリダ大学へ進学した。卒業後は、米ユナイテッド・テクノロジーズのエレベーター部門、オーチス・エレベーターに就職。エレベーターの納入が主な仕事で、日本からアジア地域への輸出を担当した。「ペトロナス・ツインタワーやKLタワーにも納入した。今でも見るたびに当時を思い出す」。その後、シンガポールへ転勤となったが、日本への帰国の辞令が人生の大きな転機となる。 「すべてはタイミングだった。もっとアジアに残りたいと思ったことがきっかけで、弟夫妻、ピーターさんと又吉真由美さんと一緒に飲食店経営をすることになった」。そうして設立されたのがえんグループだ。当初は資金がなく、銀行の個人融資を利用するなどし、シンガポールで1軒目をオープンした。 県人会を通じて知り合った人たちからも、ぜひ沖縄料理店をオープンしてほしいと言われた。大好きな沖縄のよさを伝えたいと思う気持ちが原動力となった。「シンガポールが表裏なしでビジネスができるという土地柄だったことも大きい」。制度など、ビジネス環境が整っていたこともあり、事業を始めやすかったという。 実家が飲食店を経営していたという又吉さんのノウハウのおかげで、シンガポールでスタートした事業は、香港や中国本土、マレーシア、インドネシアなどアジア7地域・23店舗へとこの11年間で大きく広がった。 マレーシアへの進出は、パビリオン側から進出のオファーがあったのがきっかけだったという。パン屋は経営したことがなかったが、マレーシアへはかねてより進出したいと思っていた。ライバルが少なく、需要が見込めると判断し、えんグループでは初めての事業形態となるベーカリーカフェをオープンすることになった。 同店の最大の売りは、フランス人や日本人の職人を起用したパンだ。特にクロワッサンやバゲットのほか、日本風の菓子パンは自信を持って勧める。オープンしてまだ4カ月だが「パン屋でありつつもスパゲティやピザなど、しっかり食事ができるようにした。お客さんからもよい反応が返ってきている」とレイモンドさん。客の約2割は日本人という。「運よく現地のよい合弁先が見つかったことも成功のカギとなった」。同店ではムスリムの存在も意識し、料理に豚肉は使用していない。 さらに、同じカフェスタイルとなる店舗を、1店舗目よりもカジュアルなコンセプトで、パビリオンと同じくKL市内ブキットビンタンに位置するファーレンハイト内に開業予定だ。「ベーカリーカフェは、マレーシアでは新鮮な店舗形態。まだまだ伸びると見込んでいる」。将来的には、沖縄料理の店舗を出店することも考えているという。 ただレイモンドさんによると「最近は人材の確保が難しい」。香港やシンガポールに比べるとましだが、マレーシアでも飲食業への就職を敬遠する風潮があり、優秀な人材を確保するのが最大の課題という。またマレーシアでは、人口があまり密集していないこともあり、出店戦略をどう立てるかが重要となる。 ■さまざまな人とのつながり 「今後もチャンスがあれば積極的に事業展開していきたい」と語るレイモンドさん。マレーシア、インドネシアに続き、今後はタイやベトナムへの進出も計画する。中国での事業拡大やカンボジアなどへの進出も狙うという。 「沖縄や米国などさまざまな環境で育ってきたことで、いろいろな人種の方と仕事し、交流することが楽しく感じられる」。「中近東などでも話があれば積極的に出店したい」と大きく夢を語った。(マレーシア編集部・大野草太) >>この目次トップへ[P R] [P R] [P R] |