「齋藤 州一」―。カラフルな色使いと優雅で華麗な動植物のイラスト。繊細な中に温かさのある世界に引き込まれる―。
この企画は、アットクリエイターズがキラリと光る作品を独断と偏見でピックアップ、素晴らしい作品を生み出すクリエイターをご紹介します。
「Pickup Creators」の記念すべき第二十回目は「齋藤 州一」。彼の等身大に迫ります!
― 齋藤 州一さん、こんにちは。今回はお忙しいところお時間をご用意いただき本当にありがとうございます。今日は齋藤 州一さんご自身について、いろいろ教えて頂きますので、よろしくお願いします!
(齋藤 州一)よろしくお願いします。
―Q. まず始めに現在はどのような活動をされておられますか?
現在はデザイン業務のかたわら、ギャラリー展示を中心にイラストの活動をしています。実は、イラストの活動を本格的にし始めたのは昨年からなのですが、ちょっとずつ広がり始めて、いろいろと声をかけていただいてありがたく思っています。
―Q. 休日や空いた時間はどのように過ごされていますか?
絵を描くのも好きなんですが、見るのも大好きなので、よくギャラリーや美術館・博物館を巡ったりしてます。あとは動物園に行って動物をボーッと眺めるのが好きですね。とにかくこもっているのがイヤなので、制作中でも少し外に出て、散歩なんかをして何かしら観察してます。
―Q. ギャラリーやイベントにも出展されているんでしょうか?
昨年もいくつかギャラリー等に出展させていただいたんですが、今年も5月・6月にはデザインフェスタやギャラリーのグループ展への出展が今のところ決まってます。まだもうちょっとキャパはあるので何かお誘いがあれば是非参加したいです。
―Q. 作品を制作する時に使用するPCソフトや画材・道具などを教えてください。
主に写真やスケッチなどをもとにMacでAdobe Illustrator CS3を使って制作しています。
―Q. 作品をどのようにして作られているのか、簡単な流れを教えて下さい。
まず写真からイメージを膨らませてモチーフを決めます。その後ラフスケッチをし、大体の構図を固めます。その後は写真や下絵をIllustratorのペンツールを使って、マウスでカチカチと根気強くひたすらトレースしていきます。このトレース作業が一番の要。トレースが終わったらコラージュの要領でレイアウトしていき、飾りやちょっとした効果を加えれば完成となります。
―Q. いつ頃から絵に興味を持たれたのでしょうか?
絵自体は物心ついた頃から好きだったように思います。小学生くらいになると絵画クラブに入って水彩をやってましたが、それよりもゲームが好きだったのでノートにRPGに出てきそうなモンスターの絵ばかり描いてましたね。PCを使い出したのは大学に入ってからです。Illustratorに出会ってからはベジェで描くのが楽しくてどんどんハマっていきました。
―Q. 主に動物をモチーフに描かれていますが、何か思い入れがあるのでしょうか?
まず伊藤若冲の『動植綵絵』を見て衝撃を受けたというのがあります。でも根底の部分では、子供の頃サンタさんに動物や鳥類、魚類、昆虫、植物などの図鑑をもらって穴があくほど読んでいたことがあったので、その影響があってもともと動植物の絵が好きだった、ということがあるかもしれませんね。
―Q. 作品のアイデアはどのような時に生まれますか?
頑張って絞り出すことも多いですが、何気ないときに急に描きたい衝動に駆られる時があって、その時に浮かんだ構図が後々お気に入りになることが多いです。
―Q. ご自分の作品に影響を与えている見本となっている作品や人などおられますか?
動植物画に関しては伊藤若冲、尾形光琳。デジタル作品に関してはgroovisionsさん、エンライトメントさんなどです。
―Q. ご自分の中でこだわっている部分やコンセプトなど教えて下さい。
こだわっているのは程よく細かいトレースと色彩、そして作品サイズです。普段のデザインの仕事では版型に縛られることが多いので、作品展などではあえて横長とか縦長の大きいサイズにしたりしてオリジナルのサイズを楽しんでます。コンセプトは優雅で幻想的でカラフルでポップ。少し欲張りかもしれませんが全部が過剰にならないように気を付けています。
―Q. カラフルな作品が魅力の一つですが、配色する際に気をつけている部分などありますか?
カラフルはカラフルでも行き過ぎるとグチャグチャになってしまうんですよね。そうならないように、まず主題は何かを考え、見せたいもの以外を白などのシルエットにすることによって、主題を浮き上がらせて伝わりやすくするようにしています。なので、始めは「どういう色を使うか」を楽しんでやってますが、その後は「どうやって色を抜いていくか」ということを気をつけてやっているような気がしますね。
―Q. 作品を制作する時に一番、難しいこと、大変なところはどのあたりでしょうか?
アイデアを出すのも結構苦労しますが、実作業で言えば、マウスで一点一点アンカーポイントを置いてトレースしていくのが肉体的にも精神的にも擦り減ります…。でもこれでしか出せない線がありますし、その線が好きなので頑張ってます。
―Q. これからやってみたいお仕事はありますか?
具体的なお仕事というよりは、紙媒体でもWeb媒体でも映像媒体でも何でもチャレンジしていきたいです。いろんな人と交わって、その中に身を投じることによってでしか生まれない作品というのがあると思うので、そういういろんな可能性を見てみたいです。
―Q. それでは最後に今後の抱負、目標、こういったことにチャレンジしたい!などお聞かせ下さい。
質の向上はもちろんなのですが、もっと活動の場を広げるために人物描写など、動物以外の描写にも力を入れていきたいです。それといろんな場に出て、いろんな方に見ていただきたいですね。
―ありがとうございました〜。
とってもカラフルな作品が魅力的な齋藤さん、これからも頑張ってください!
齋藤 州一さんからのプレゼントです。
こちらから「齋藤 州一オリジナル壁紙」をダウンロードできます。
サイズは、1024×768pixel と 800×600pixel の2種類です。
齋藤 州一
ベジェイラスト
ベジェを用いて色鮮やかでキラキラした動物のイラストを好んで描いております。写真等のトレースがメインの作品ですが、写真では味わえないイラストの空気感を大事にしています。優雅で幻想的でカラフルでポップなこの世界観を楽しんでいただけたら幸いです。
「Design Festa Vol.27」
ベジェイラストをテーマとした3人組で出展します。
日時:2008年5月17,18日 11:00〜19:00
会場:東京ビッグサイト
グループ展「Dream展」
日時:2008年5月25日(日)〜31日(土)/27日(火・休み)
会場:ギャラリーコピス
http://www.g-kopis.com/
グループ展「誰かは知ってる未だ見ぬ世界 展」
日時:2008年6月18日(水)〜6月23日(月)11:00〜19:00(初日12:00から、最終日17:30まで)(オープニングパーティー17:30〜19:30)
会場:ミレージャギャラリー
http://www.mireyagallery.com
【 PCとソフト 】
iMac G5,Adobe Illustrator CS3で制作しています。
【 カメラ 】
デジタル一眼やコンパクトデジカメを使ってモチーフを撮影し、PCでトレースしていきます。
【 クロッキー帳 】
写真だけでなくスケッチからトレースを起こすこともあるので、その場合はクロッキー帳をよく使います。
【動物園】
動物を見ていると癒されるので、素材集めを兼ねてよく行きます。お気に入りはヒツジやヤギ、ニワトリなどと触れ合える上野動物園の中の「こども動物園」です。
■おすすめの1冊
『PAPER SHOW』
株式会社 竹尾 著(毎日新聞社)
国内外のトップ・クリエイターが竹尾の様々な用紙とコラボレーションした書籍。紙の見本帳としてだけでなく作品集としても楽しめる。豪華で迫力のある1冊です。
■おすすめの1本
『アイデン&ティティ』
(監督 田口トモロヲ)
夢と現実の間で葛藤するロック青年の青春映画です。モノ作りに対するピュアな気持ちを思い出させてくれます。
■おすすめの1枚
『スカート』
スネオヘアー
何となく聴いていて、気付いたらヘビーローテーションになっているような心地の良いアルバムです。ジャケットのアートワークも好きです。
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【1】トレース
写真を用意し、Illustrator上でペンツールでトレースしていく。
【2】着色
各パスを着色し、全体を輪郭パスでマスクをかけて仕上げる。
【3】レイアウト
他にも写真からトレースし、一つのファイルにレイアウトする。
【4】背景等描き込み
さらにモチーフや背景を描いていく。
【5】完成
星やその他の輝き、湖面の映り込み、雲などの効果を加えて完成。