東日本大震災で発生した岩手、宮城の災害廃棄物(がれき)を発生地以外で処分する広域処理について、環境省は2日、全国の自治体に行った調査を発表した。54市町村・一部事務組合(11都府県)が、「すでに受け入れている」「受け入れを検討している」と答えた。だが、放射性物質への不安から受け入れをためらう自治体が多く、4月調査の572市町村・一部事務組合に比べて激減した。政府ががれき処理の目標と掲げる13年度内の処理終了は難しそうだ。【藤野基文】
調査は被災した岩手、宮城、福島の3県と沖縄県を除く43都道府県を対象に実施し、(1)既に受け入れている市町村がある(2)具体的な検討を行っている(3)検討を行っている--の3段階で聞いた。その結果、(1)は東京都と山形県の6市町村・一部事務組合、(2)は2市町村、(3)は46市町村だった。具体的な市町村名は「住民からの苦情が来る」という理由で公開していない。
一方、環境省が4月、今回の4県と茨城の計5県を除く42都道府県を対象にした調査では、572市町村・一部事務組合から、年間最大488万トンの受け入れ表明があった。
環境省の試算では、発生した災害廃棄物は、岩手県で発生する一般廃棄物の約11年分に当たる476万トン、宮城県で19年分に当たる1569万トンの計約2045万トンに上る。
生活圏の廃棄物だけは8月中に仮置き場へ移動が済んでいるが、その先の処理が進んでいない。広域処理を希望する廃棄物の量は岩手県で57万トン、宮城県は石巻地区だけで294万トン。
広域処理をめぐっては、東京都が岩手県との間で協定を結び、2日に搬出が始まった。また、山形県で一部が処理されている。
毎日新聞 2011年11月2日 12時05分(最終更新 11月2日 12時22分)