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なんにもない空間……?

突如…目の前にクラシックな二丁拳銃を持った、顔に大きな傷のある女性が現れる。

「あんだけ立派に悪党やったんだ、この死に方だって贅沢ってなもんさ、愉しめ、愉しめよシンジ、そしてアンタらも容赦なく笑ってやれ、ピエロってのは笑ってもらえないと、そり、哀れなもんだからな……さて、ともあれ、よい航海を、次があるなら、アタシより強くなっていてくれよ?アタシゃ本業は軍艦専門の海賊だからねぇ、自分より弱い相手と戦うってのは、どうも尻の座りが悪くていけない」

これは……………

次に出で来たのは緑の衣装に身を包んだ痩躯の男性。

「……だから、謝る必要なんかねぇんだ、十分、いい戦いだった、恥じるところなんかどこにもねぇ……いやぁ、そもそも戦いなんて上等なもん、オレに出来るとは思わなかった、思えば、生前のオレゃあ、冨も、名声も、友情も、平和も、たいていのものは手に入れたけどさ、それだけは、手に入れる事ができなかった――だから、いいんだ……最期に、どうしても手に入れられなかったものを、掴ませてもらったさ――」

止め

次は黒い少女

「わすれちゃったの? こう言うの、、あわれで可愛いトミーサム、いろいろここまでご苦労さま、でも、ぼうけんはおしまいよ、だってもうじき夢の中、夜のとばりは落ちきった、アナタの首も、ポトンと落ちる、さあ―― 嘘みたいに殺してあげる。ページを閉じて、さよならね!」

止め、止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

俺は絶叫と共に起きた。
第二話 苦悩する聖杯と覇王と聖王
ナカジマ家

何時も通り……いや、瑞稀がいる分…会話が弾む筈なのだが

「「「「「「「……………………………」」」」」」」

誰1人として口を開かない。
理由は朝の絶叫………全員が駆けつけたのだが…瑞稀は顔を真っ青にし震えるながら謝っていた…………俺が生き残ってごめんなさい、殺してごめんなさいと………。

其れを聞いた全員は何も言えなくなり、この状況を作り出していた。

「いってきます……」
「あ、うん、気をつけてね」

瑞稀が行ったあとナカジマ家は会議になった。

「昨日は明るかったのに」

ギンガが口を開く。

「見た目はアレでもまだ子供だ……両親の死が答えているのだろう?」

チンクが冷静に意見を述べる。

「其れにしては謝り方が変だった」
「ああ、生き残ってごめんなさいは分かるが殺してごめんなさいがわかんねぇ」

チンクの意見を否定するディエチとノーヴェ。

「わからない事……だらけッス」

そう言って落ち込むウェンディ。

「まあ、しゃあねえ、あいつが自分から話してくれるのを待とうぜ」

ゲンヤの言葉でこの会議は終わった。












St.ヒルデ魔法学院

アレの夢を見るなんて……ここ最近ずっと見てなかったのに……
俺が見たのはムーンセルでの聖杯戦争を脱落したマスターとサーヴァントの最後。
みな、俺とセイバーが殺したのだ
……100人以上のサーヴァントとマスターがどんな願い事も叶えてくれる願望器【聖杯】を手に入れるための殺し合い………其れが聖杯戦争。
聖杯を手に入れるのは最後まで生き残った一組だけ………だからこそ殺し合う。


「瑞稀君、瑞稀君!」
「あっ、はい!」
「自己紹介してくれるかな」
「すいません、天地 瑞稀です、よろしくお願いします」

如何やら聖杯戦争を思い出してる間に俺の自己紹介までいってしまったらしい。
やれやれ鬱になりそうだ……。

「じゃあ、瑞稀君の席はアインハルトさんの席の隣ね……アインハルトさん、瑞稀君…まだ教科書がないから見せてあげてね」
「はい……」

返事をしたのは右目が紺、左目が青で微妙に色が違うのと、碧銀の髪の右側に付けた大きな赤いリボンが特徴的な女の子だった。

「あ、あの」
「ん?」
「アインハルト・ストラトスです」
「天地 瑞稀……よろしく」

其れから会話はなく授業中も教科書を見せて貰うだけだった。



昼休み

「あ、あの」
「何かな?」
「お、お昼……一緒に如何ですか?」
「お昼……」
「食べないとお腹空きますよ……午後は体育ですから………購買の位置も去年変わりましたし……」
「案内してくれるの?」
「は、はい」
「ありがとう……アインハルトさん」
「いえ」

俺はアインハルトさんに購買へ連れてってもらい中庭でパンを食べていた。

「「「アインハルトさーん」」」

金髪で赤と緑の虹彩異色の女の子とツインテールの女の子、八重歯が特徴的な女の子が走って来た。

「ヴィヴィオさんに、コロナさん、リオさんまで如何したんですか?」
「みんなで本堂に行く途中なんです……そしたらアインハルトさんの姿が見えたから」
「一緒にどうですか?」

どうやら三人はアインハルトさんを本堂に連れて行きたいらしい。
すると八重歯の子と目があった。

「あれ?どなたですか?」
「俺は天地 瑞稀……小2から入院しててね、昨日退院したから今日から四年ぶりに通ってるんだよ」
「へ~そうなんですか…わたしはリオ・ウェズリーです、よろしくお願いします、先輩」
「あっ、わたし高町 ヴィヴィオです」
「わたしはコロナ・ティミルです」
「よろしくね、リオ、ヴィヴィオ、コロナ」
「「「はい!」」」

元気な娘達だな。

「あの、瑞稀さんは小2から学校を休んでたんですよね」
「そうだけど?」
「瑞稀さん、男の人ですか?」
「そうだけど?」

凄いな、この子達、俺がオトコって良く分かったな。

「あの、緑銀りょくぎん神子みこに心当たりは?」
「その呼び名をどこで?」

緑銀の神子……俺が事故に巻き込まれる前にシスター達がつけた二つ名だ。

「やっぱり」
「本物だ」
「綺麗」
「本人に出会えるなんて光栄です」

アインハルトさんまでそっち側なのね。
その後、ヴィヴィオ達の押しもあり全員で本堂に行った。
結局、ヴィヴィオ達はお祈りをしたかったらしい。
俺も久方ぶりにするか。

「私が殺す。
私が生かす。
私が傷つけ私が癒す。
我が手を逃れうる者は一人もいない。
我が目の届かぬ者は一人もいない。
打ち砕かれよ。
敗れた者、老いた者を私が招く。
私に委ね、私に学び、私に従え。
休息を。
唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる。
装うなかれ。
許しに報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、
光あるものには闇を、生あるものには暗い死を。
休息は私の手に。
貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。
永遠の命は、死の中でこそ与えられる。
――許しはここに。
受肉した私が誓う。

――“この魂に憐れみを(キリエ・エレイソン)”」

ん?
何故……ヴィヴィオとアインハルトが泣いてる!?

「何だか悲しくもないのに涙が」
「すいません」

何なんだ一体。


放課後………俺はアインハルトさんに誘われヴィヴィオ達の練習に付き合うことになったのだが……ノーヴェさんが先生とは驚いた。



「やるな」

俺は現在ヴィヴィオとノーヴェさんのスパーを見ている。

『瑞稀はやりませんの?』
「お姉様…俺はちょっと」
『なまりますわよ?』
「うっ」

お姉様に痛い所を突かれた。

「あ、あの、瑞稀さん……わたしと戦ってもらえませんか?」

アインハルトさんに勝負を挑まれた。

「良いですよ」




俺とアインハルトさんはお互い向き合う。

「………始め!」

ノーヴェさんの声と共にアインハルトさんが動く。
離れた距離から一瞬で接近し、左右の拳で連撃を繰り出してくる。
俺は掌に「魔力」を集め、相手の攻撃を受けながら技を打ち込む。

「桜楼月華」
「!?」

アインハルトさんはうまく防いで距離を取った。


(何…いまの? あの短時間にそこまで魔力を溜めれる筈がないのに……凄い威力だった)

「やはり……強いですね、瑞稀さん!」
「いや、俺の格闘技能なんて……ムーンセルのアサシンに比べれば赤子さ」

そう言ってアインハルトさんとの距離を詰めて俺は拳の連打を浴びせる。
アインハルトさんはそれを捌きながら再び距離を取る。

(凄い…拳の一つ一つが凄い威力…こんな人がいるなんて)

何故かアインハルトさんは突っ込んでくる。

「駄目だよ…其れじゃ」

俺はアインハルトさんにラッシュをかける

(全てが私より上…しかも瑞稀さんは格闘タイプじゃない!?)

何を考え……ってしまった!!

(其れでもこの技なら…!!)

アインハルトさんは俺が見せた一瞬の隙を突き懐に潜り込む。

「覇王…」

アインハルトさんはそのまま足先から力を練り上げ、

「断空拳!!」

俺の鳩尾に拳を打ち込む。

「つぅ」

俺は派手に吹き飛んだ…こんな相手なら使うか、アサシンの拳。





観戦者サイド

「瑞稀さん!」
「決まったか、こりゃ」

叫ぶヴィヴィオと判定を下そうとするノーヴェ。


「待って下さい!」

ノーヴェを止めるアインハルト。

「アインハルトさん!」
「今の決まりましたよね!」

リオとコロナはそう言うが

「いえ、決まってません………悔しいですが防御ガードされました」

とアインハルトが言うと瑞稀が立ち上がった。

「くはははははははは!!!! 滾る滾る!! 血が!! 肉が!!
 人の命を大量に奪い、なにを悟った気になっていたのやら――所詮は俺も強さを求めし修羅ということか!アインハルトさんは強い! これまでのどの敵よりも!ならば俺も其れに応え、この拳の持てる最大の一撃で沈めよう!!」
「お願いします」

構え直すアインハルト。

「それでは……しばし気を納めるか」
「!?」

瑞稀が構えた瞬間に悪寒がはしった。
そして

「いない?」

アインハルトの視界から瑞稀が消えた。
そして

「どこを見ている?」
「!?」
(いきなり現れた!?)

アインハルトは急いで手を交差させガードする。

「我が八極に二の打ち要らず无二打!」

瑞稀はガードするアインハルトに強烈な一撃を打ち込む。
其れによってアインハルトの意識を刈り取った。

「「「あ、アインハルトさん!」」」

ヴィヴィオ達は駆け寄り、瑞稀は深呼吸している。

「大丈夫だ……意識を刈り取っただけだからな」

(何だ…今の変わり様は……其れに意識を刈り取ったって……どんだけの実力だよ! アインハルトはガードしてたんだぞ! 其れを抜くなんて……でもこいつは四年間寝てたんだよな……何時どこでこんな技能を覚えたんだ?)

ケロっと真顔で言う瑞稀に対してノーヴェはそう思った。


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