・名前は同じ、中身は違う06


 あれから、どう片付いたのかは知らないが。
 ゼロことルルーシュが尋ねて来たとき、ちょうど、俺達は食事中だった。
 金はゼロの財布から出ている。文字通りの意味で。

 とりあえず腕を吊って現れたゼロに、紅茶のカップを載せた皿の脇に空になった財布を添えて出してやり。
 凄い睨んでくるゼロを気にせず、要件を聞く。
 すると、財布に関して一頻り愚痴った後、漸くゼロは本題を吐いた。

 何でも、ギアスが使えなくなったらしい。
 いや、俺にそんな事を相談されても困るのだが。

 相談する相手間違えてないかと聞いたところ、既に緑髪には聞いたらしい。
 が、原因不明。しかも緑髪にはギアスは効かないので、どんなモンなのか俺相手に試し撃ちに来たらしい、直接は言ってないが行動から推測するに。
 成る程、と俺は目を押さえてのた打ち回るゼロを見下ろした。

 ……え、何したって、目潰しを少々。
 誰だってそうする。俺もそうする。
 とりあえず、のた打ち回るゼロに告げておこう。
 撃って良いのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ(キリッ。

 と、そんなゼロに何故か徐に千草が抱きついた。何の脈絡もなく。まるで惚れ薬でも使われたかのようだ。
 抱きつかれたゼロは困惑気味である。振り払おうともしてない辺り、敵意がないのは判ってるんだろう。
 
 千草の顔は赤い。熱に浮かされたようだ。
 しかし俺は噛んだ覚えは無いし、もしそれが原因なら、俺に来る筈だ。
 と言う事はアレだろうか。
 俺は、千草を抱きとめたままのゼロと顔を見合わせる。
 
「これは、まさか……」
「アレか、相手をオトすギアス能力か……俺に向けるなよ?」

 もしこれが推測どおりなら、絶対尊守よりもとんでもない。
 元々の顔の良さも相まって、現代に妲己が再臨した様なモンだろう。
 まぁコイツは男だが。

 もし俺がコイツのギアス能力を受けたならば。
 トンデモな能力を持つ従順な兵士が、とか考えてるだろうゼロに先に釘を刺しておいた。
 多分俺がこの千草のように好意振り切れ状態になったら、周りの奴ら全員血祭りか拉致監禁とかするかも知れんし。
 俺は割と独占欲強いのだ。

 千草を連れて(離れようとしなかった)帰るゼロを見送ってから、俺は食事を再開した。
 さて、食い終わったらレストランとか探しに行かねばならないし。
 もう戻ってこないだろうから。

 さて、新能力の条件とかはさっぱりだが。
 果たして明日以降、ゼロは無事に過ごすことが出来るのだろうか?
 俺も、事によってはフォローに回らなければならないだろう。
 無論、金蔓的な意味で。



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