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【芸能・社会】大竹ピアフ 時空を超え重なる人生劇場2011年11月4日 紙面から
女優大竹しのぶ(54)、その演技と歌が表現する圧倒的な力が見る者の心を揺さぶり、熱くさせる舞台「ピアフ」(栗山民也演出)が、東京・日比谷のシアタークリエで大詰めを迎えている。歌を、恋を生きがいとして歩んだシャンソン歌手エディット・ピアフの壮絶な人生を描く音楽劇。「すべてをさらけ出す」ピアフが実際の大竹と重なり合い、時を超えた2人の出会いは、“運命”だったと思わされる。6日の千秋楽の後、全国各地を回る。 (竹島 勇) ♪もういいの もう後悔しない 新しい人生が今日から始まるのさ いったん暗くなった照明がつき、ささやくようにゆっくりと始まり、感情を高めながら力強く歌いあげるラストの「水に流して」。 貧困の中からはい上がり、国民的歌手として名声を得る一方で、恋を重ね薬におぼれて心身を病み、47歳の若さで人生に幕を下ろした後の場面。ピアフに寄り添ってきた観客は、「愛の讃歌」とともに、神々しいまでの絶唱に魂をつかまれ揺さぶられる。 歌唱力をいうなら歌中心のキャリアの人が勝ろうが、大竹には彼女独特の醸し出すような表現力がある。「ピアフ」ではそれに(歌でない場面の)演技の巧みさが結びつく。 ◇ 大竹の紫綬褒章受章が伝えられた2日夜。カーテンコールで共演者から花束が贈られ満員の客席から拍手が起こった。「思いがけないこと…。森光子さんならここに東山(紀之)さんが来るのかな」と照れたようにジョークで和ませると、「良い芝居をしたいと思います。ピアフのせりふに『私が歌うときは、私を出すんだ、全部まるごと』とありますが私もそう。それができたら死んでもいい」と言い切った。 ◇ 大竹自身もピアフとの共通点を意識しているが、観客も大竹とピアフを「重ね合わせ」てみることが感動を増す要素となっている。 表現力に富んだ女性というだけではない。深く愛したボクサーの恋人マルセル・セルダンを飛行機事故で失ったピアフ。彼を思って作り、歌ったのが「愛の讃歌」だ。大竹も25歳で結婚したTBSのディレクター服部晴治さんをわずか5年でがんで亡くしたのはよく知られている。大竹は当時、同曲を歌い“私も死んで、また会える”とする歌詞に「救われた」という。 ピアフが有名人と交際してきたのを、大竹のタレント明石家さんま(56)との結婚と離婚、演出家の野田秀樹氏(55)との交際と別れを重ねる人もいよう。 親友の歌舞伎俳優中村勘三郎(56)もピアフと大竹を重ね合わせた一人。34年前に共演した際、ピアフの自叙伝を大竹にプレゼントしている。大竹によれば勘三郎は「すごく良かった」と感想を述べ、薬物の影響で歌えない場面の演技を「鳥肌が立った」と称賛する一方で「自分も恋をしなさい」とアドバイスしてきたという。 大竹はこの夜、楽屋で「何回やってもさらに追い続け深められる役に出合った」と早くも再演を誓い、「生き方を教えてくれたピアフには『ありがとう、私もやってくよ』と言いたい」と笑顔で話した。 ◆29日、中日劇場が最終公演6日までのシアタークリエ公演は前売り分は完売。地方公演は、9日・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場、11日・富山県民会館、20日・金沢の北國新聞赤羽ホール、26−27日・大阪の森ノ宮ピロティホールを経て、29日の名古屋・中日劇場が最終公演となる。 <エディット・ピアフ> 1915年生まれ。フランスの国民的歌手。10代から路上で歌い、高級クラブオーナーの目に留まり歌手に。小柄なため「小さい雀」の意味のピアフという芸名が付けられる。第二次大戦後は世界的な人気を得るが、63年に47歳でがんのため亡くなった。 PR情報
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