独立行政法人「原子力安全基盤機構」(東京都港区)が、事業者の作成した原案を丸写しした資料(要領書)を基に原発関連施設の法定検査をしている問題で、機構は4日、検査手法や体制に問題があるかどうか調査するため第三者委員会を設置すると発表した。枝野幸男経済産業相の指示によるもの。近く法曹関係者や原発推進に慎重な立場の識者ら5人以上を委員に選ぶ。委員会は年内に報告書を提出する。
丸写しは毎日新聞の報道で表面化した核燃料棒検査(08年)だけでなく、原発関連設備の使用前検査などで常態化している。機構側はこれまでの取材に「妥当な手法であり変更するつもりはない」としてきたが、持丸康和・企画部企画グループ長は会見で「過度に事業者に依存していた可能性は否定できない」と初めて問題点を認めた。そのうえで「検査する資格があるかどうか国民から疑念を持たれている。委員会の意見を聞き、うみを出し切りたい」と語った。
委員会は▽日本原燃ウラン濃縮工場(青森県六ケ所村)で、貯蔵容器メーカー「日立造船」が必要な試験を実施していないことを見抜けないまま合格判定(09年)▽関西電力大飯原発で関電の検査用資料の不備に気づかず検査漏れ(09~10年)--なども調査対象とする。要領書の作成過程や事業者との関係、人材の育成・訓練状況などについて調べるという。【川辺康広】
毎日新聞 2011年11月4日 22時03分