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「国際公約」消費増税に政権の命運 法案が解散左右

2011/11/5 2:08
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 野田佳彦首相は3日、20カ国・地域(G20)首脳会議で、消費税率引き上げを事実上の国際公約として表明した。民主党内でも増税反対論が根強く、消費増税準備法案の行方は不透明。それでも首相は法案成立前には衆院解散・総選挙に踏み切らない考えを記者団に示し、世界的に関心が高い財政再建問題で政権の命運を懸けたともとれる。消費税増税問題は解散と絡み野田政権の行方を左右する。

 首相はG20で「2010年代半ばまでの10%への引き上げ」を明言。その後、「各党とも一緒に議論したい」と記者団に強調し、10%への消費税率引き上げを掲げながら与野党協議に消極的な自民党に協力を迫った。

 最初の関門は民主党だ。首相は記者団に消費増税法案では「実施時期を定める」と強調したが、まずは党執行部が引き上げ時期や増税幅など具体案の決定を目指す12月中下旬がヤマ場になる。

 選挙基盤の弱い若手議員を中心に消費増税に反発が出るのは必至。東日本大震災の復興費用を賄う臨時増税や環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加問題より風圧は強く「決定が年明けにずれ込む可能性もある」(党税制調査会幹部)との懸念が早くも出ている。

 年末に決定する来年度予算案を巡り、藤村修官房長官は4日の記者会見で、将来の消費増税を織り込んで編成する考えを表明した。基礎年金の国庫負担分のうち2兆5千億円を、将来の消費税収を償還財源とする「つなぎ国債」で賄う意向を示したものとみられる。

 政府・民主党が3月を想定する法案の提出では、法案の表現が火種になる。法案の骨格取りまとめで「景気動向を踏まえて」消費税を増税する、と決着した場合、年末は乗り切れても「実際に法案化する段階で具体的にどんな条件を書き込むかを巡り再びもめる」(党幹部)。増税反対派に配慮して厳しい条件を付ければ消費増税は事実上封印されてしまう。

 3月は来年度予算案の成立を巡り与野党の攻防が激しくなる。政治資金規正法違反事件で強制起訴された小沢一郎元代表の東京地裁での判決は来年4月中旬ごろに見込まれる。「無罪判決なら増税反対を叫びやすくなる」(元代表支持グループ議員)との声も出ている。

 最大の難関は法案採決だ。反対派議員が大量造反し、国際公約した消費税増税で法案が否決されれば内閣不信任に等しい。首相が内閣総辞職か衆院解散を迫られるとの見方は多い。そのときの内閣支持率や消費増税に関する世論の動向も党内調整や採決に影響しそうだ。

 法案成立で自公の協力を取り付ける代わりに、直後の解散に応じるとの観測も一部でささやかれる。だが、民主党は衆院で6割超の議席を持ち、早期解散に慎重な意見が大勢。首相は慎重な法案のかじ取りを迫られる。

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