パナソニックが薄型テレビ事業を縮小するリストラ策を31日発表する。日本の電機メーカーを取り巻く厳しい状況を象徴する動きだ。テレビは家電の主役だった。これから電機メーカーは何で稼ぐのか。道筋を示せるか問われる。
薄型テレビは韓国メーカーなどとの価格競争が激化する一方だ。日本のメーカーではソニーやシャープも採算が悪化し、生産の縮小や海外への製造委託を進める。
苦戦しているのはテレビだけではない。家電では日本企業が圧倒的な世界シェアを握る分野がビデオカメラなど一握りになった。製造装置を買えばだれでも映像、ゲーム機器などに参入できる。技術での差別化が難しくなり過当競争になったのが業界の現状だ。
この状況から脱するにはコモディティー(市況商品)化した製品から離れるしかない。すでに米欧企業は10年も前にカジを切っている。オランダのフィリップスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)はインフラ関連や医療機器などに事業を絞り高収益を上げる。
成功したのは製品の付加価値を高める売り方に徹したからだ。たとえば消費財は単品ではなるべく売らない。保守サービスなどと組み合わせ、値崩れを起きにくくする。こうした戦略は技術力を生かしやすく、日本企業にとっても苦境打開の突破口となる。
パナソニックはテレビ事業の規模が大きく、方向転換に時間を要したが、今春にはパナソニック電工などを完全子会社化して事業領域を広げた。設計に施工、保守を合わせた体制は販売強化につながる。グループ内の経営資源の相乗効果を高めるうえで有効だ。
インフラ分野は積極的に開拓する必要がある。この数年、三菱電機や日立製作所は家電を縮小し、新興国の旺盛なインフラ整備に欠かせない製品に力を入れて利益を伸ばし始めている。
今後有望な市場が環境配慮型都市(スマートシティー)関連などの環境・エネルギー分野だ。現在は家電とほぼ同じ年間170兆円規模の市場だが、中長期的に10倍以上に拡大するとの予測がある。
そうした新しい需要を取り込み活力を取り戻したい。新興国企業が容易に参入できない製品やサービスの開発が要る。企業再編を進め、過当競争から脱したり異業種から技術を取り込んだりすることも重要だ。稼ぐ体制をつくる改革を電機メーカーは緩められない。
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