千葉県柏市で異常な高線量値。“スーパーホットスポット”は首都圏のあちこちにある?

[2011年11月04日]


10月中旬から首都圏各地で高い放射線量が計測されている。

千葉県船橋市の公園で毎時5・82マイクロシーベルト、東京都でも足立区の小学校で3・99、東村山市の小学校で2・15……。そんななか、千葉県柏市根戸の住宅地付近の市有地からケタ違いの〝スーパーホットスポット〟が見つかった。その数値、なんと57・5! この場所にいたら、外部被曝量だけで年間500ミリシーベルト超。福島県でも、これほど高線量の場所に人が住んでいる例はほとんどない。

土地を管理する柏市役所資産管理課の担当者が語る。

「発端は地域で計測を続ける市民からの情報提供。10月21日に市が調査してみると、確かに土の表面と土中で驚くほど高い放射線値が出たので、すぐさま現場付近の立ち入りを規制しました」

あまりに高い数値から、当初は汚染土壌の投棄など人為的な要因も指摘されたが、文部科学省の調査で現場付近の側溝の一部破損を確認。そこから福島第一原発由来の放射性物質を含む雨水が入り込み、土壌に染み込んで蓄積された可能性が高いと発表された。しかし、すさまじい高線量を持て余しているのか、10月27日時点ではブルーシートで覆われたまま放置されている。

この柏市でのスーパーホットスポット出現に戦々恐々としているのは首都圏のほかの自治体。いくつかの汚染スポットを抱える都内某区環境課の幹部職員が明かす。

「(柏市のスーパーホットスポットの)報道が出た日には、首都圏でも福島第一原発周辺と変わらない数値が出るのかと部署中が大騒ぎになりました。汚染されていた場所が数㎡と限定されていたこともあり、福島由来ではないのではないかと最後の期待を抱いていたのですが……」

それにしても、なぜ、首都圏で福島第一原発周辺のような高濃度の汚染が生まれたのか? 周囲が山に囲まれていると、雨で汚染された土が流れ込んで、麓(ふもと)の町の線量が高くなることは知られている。しかし、今回の柏市の現場はなだらかな丘陵地の中腹にあたる場所だ。現場の状況を取材したジャーナリストの有賀訓氏はこう見る。

「(現場のある)丘の頂上付近は平らになっているので、やはりこの平地や斜面の汚染された雨や土がここに集まって凝縮された可能性が高いです。しかし、このスーパーホットスポットは山に囲まれた谷間にあるというわけではないし、頂上の平地もせいぜい150㎡ほどの小さなもの。いくら柏市は町全体がホットスポットのようになっているとはいえ、その程度の土が流れ込んだだけで、これほど高い濃度の汚染が生まれるとは……。どれだけ高濃度の放射性物質が降れば、こんな汚染が起きるのか、想像すらできません。3月以降に首都圏を襲った“黒い雨”を、もう一度検証し直す必要があるのではないでしょうか」

首都圏でも、福島第一原発の周囲と変わらぬ高濃度の放射性物質が潜んでいた。3月以来、政府は事実隠蔽の限りを尽くしてパニック回避の方針を貫(つらぬ)いてきたが、それも限界に達しつつあるということか。今回のようなケタ違いのスーパーホットスポットが、首都圏で再び発見される可能性を誰も否定できない。

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