2011年11月4日00時35分
酒蔵や醤油(しょうゆ)蔵が集まる醸造の町・鶴来(石川県白山市)の魅力を発信しようと、鶴来商工会青年部がB級グルメ「つるぎTKGY(卵かけご飯焼き)」を開発し、12店舗で販売を始めた。地元産の醤油や酒を使ったダシが味の決め手だ。
見た目はお好み焼きのようで、食べると表面はカリッと香ばしく、中身はトロッとした卵かけご飯――。鶴来駅近くの食事処「若竹」のTKGYは、ご飯と卵に牛すじ肉や天かす、ダシなどを加え鉄板で焼き、ノリと青ネギをのせれば完成だ。平日で20食、土日は50食ほど売れるという。
TKGYの定義は、白山の水で炊いた県産米に、鶴来の醤油・味噌・酢などで味付けした卵をかけ、焼き上げた料理。上にあんかけをかけたり、チーズを乗せたり、お茶漬け風にしたりと、店ごとに個性がある。どの店も1食500円前後と手頃で、「子どもや女性にも人気です」と青年部の直田弥丈部長(38)は話す。
旧鶴来町は2005年に合併して白山市になり、町の名が消えた。旧市街地が埋没する危機感を持った青年部が、09年度から醸造品を使ったB級グルメづくりを計画。試行錯誤の末、当時流行していた「卵かけご飯(TKG)」を焼いたTKGYを考案した。
お披露目となった昨秋の地元イベントで880食を売るなど、評価は上々。その後も味を磨き、北陸地区信用金庫協会が先月開いたイベントでも、22事業者が出展した「食グランプリ」で最優秀賞に選ばれた。
今年2月には、家庭でも作れるようにと「つるぎTKGYだし」(1リットル580円)を地元スーパーなどで発売。鶴来商工会の経営指導員、山田禎範さん(42)は「誰でも簡単に作れるB級グルメとして、日常的に食べてもらえれば」と話している。(生田大介)