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	青森のニュース
東通原発、安全策「妥当」 知事、了承の方向 青森県検証委 福島第1原発事故を受け、青森県の原子力施設の緊急安全対策を第三者が検証する県原子力安全対策検証委員会の第8回会合が3日、都内であり、定期検査中の東北電力東通原発1号機(同県東通村)などの安全対策を妥当とすることを決めた。委員長の田中知・東大大学院教授(原子力工学)が報告書の内容を一部修正し、三村申吾知事に提出する。三村知事は検証委の結論を尊重する考えで、東通1号機の再稼働などに向けた最大の課題の「地元の了解」は、クリアされる可能性が大きい。だが国から求められた原発の「安全評価」の終了のめどが立たないこともあり、各施設の運転などの再開時期は見通せない。
 東通1号機と日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)は「対策が効果的に機能していく」との表現で認め、訓練の充実強化など継続的な安全確保策を求める。
 電源開発大間原発(大間町)と、国が緊急安全対策を不要とした「再処理工場以外の核燃料サイクル施設」は、文言が変わるが対策や国の判断が認められる見通し。
 9月17日以来となる会合には委員13人のうち11人が出席。安全評価の取り扱いについては、東北電が結果を国に提出する時期が見通せないことなどから「評価結果が緊急安全対策に影響する可能性は低い」とみることにした。
 検証委は6月に初会合を開催。東通1号機の再稼働を視野に7月中に結論がまとまるとの見方もあった。7月上旬、政府が唐突に安全評価の実施を打ち出したことで状況が変わり、開催のペースが月1回程度に落ちていた。
 東通1号機は安全評価の作業中。東日本大震災などの影響で、再処理工場は最終段階の高レベル放射性廃液ガラス固化試験が再開されず、大間原発は建設工事が休止している。
 
 
 ◎県民に根強い不安/再稼働時期は見通せず
 
 3日開かれた青森県原子力安全対策検証委員会は、東北電力東通1号機や使用済み核燃料再処理工場などの緊急安全対策を妥当と判断した。検証結果を重視する県は施設の再稼働や工事再開を認めるとみられる。福島原発事故の影響で県民の不安は根強く、課題は多い。
 検証委は津波、地震などの専門家らで構成。論議では、厳冬期の事故対策など青森県特有の課題も指摘された。国が既に確認した安全対策を覆すような議論にはならず、求められた「独自の厳しい検証」との役割について、一部委員から疑問の声が出ていた。
 再稼働時期が焦点となる東通1号機は、安全評価の1次評価の作業中。東北電が国に評価結果を出し、妥当性が認められれば、野田佳彦首相らが地元の合意状況をみて再稼働の可否を判断する流れだ。だが評価にかかる期間は分からず、判断時期は不透明なまま。
 県が7月に開催した各施設の安全対策に関する県民説明会では、出席者から不安や反対の声が相次ぎ、再開へのハードルの高さをうかがわせた。原発事故が収束しない中、県民の心配は払しょくされたとはいえず、県は検証結果を丁寧に説明する工夫が求められる。
 2011年11月04日金曜日 |  |