【ヒーロー】
手むくじゃらの心臓を持つジャイアン
【野球】
ニックネームは「ジャイアン」。
ドラえもんの登場人物に風貌が似ていることからそう呼ばれている。
そのジャイアンが31日のCSファーストステージの決戦に先発。巨人打線を七回途中まで5安打無失点に抑え、チームのCSファイナルステージ進出に貢献した。
「後ろに館山さんや村中さんがいたので、つぶれてもいいやという思いで精いっぱい腕を振って投げました」
184センチ、87キロの大男は強心臓の持ち主だ。経験の少ない若手が大舞台のマウンドに立てば緊張やプレッシャーはつきものだが、赤川にはそれが全く感じられない。ルーキー左腕の久古はこう話す。
「アイツのスゴイところは、先発する日だろうがその前日だろうが、クラブハウスで漫画を読んだり携帯電話をいじったり、普段と何も変わらないところです。超マイペース。僕には考えられないですよ。見習いたい? いやあ、僕は見習いたくはないです(笑い)」
ブルペンで戦況を見守っていた松岡も、「(宮崎の)田舎で何も考えずに育ったんだなあって感じ(笑い)。投げているときも(マウンドで)ニヤニヤ笑ってたりするからスゴイなあって思う。あの感じで巨人を抑えられるのはアイツしかいないですよ」と笑う。
だが、神宮球場で試合がある日は、一緒に合宿所に住むため赤川の運転手役となる増渕は、「今日だけは緊張してたと思う」とこう言った。
「緊張しないタイプとかいわれてますけど、今日はしてましたよ。顔には出ないヤツですけど、いつもとは少し感じが違ったので。緊張をほぐすことは特にしていないけど、試合に(スムーズに)入っていけるよう予習をしました。行きの車の中で巨人打線の好きなコースとか傾向とか、データをひと通り復習して球場に来ました。あとは『おまえが打たれたって誰も責めないんだから、思いっきり行けよ』と言ってやりました」
試合後は「足が震えて止まらなかった」と漏らしたものの余裕顔。8月に今季2度目の先発でプロ初勝利。シーズン6勝を挙げ、決戦のマウンドを任されたジャイアン。ヤクルトに頼もしい左腕の柱ができた。