Nichiren Shoshu

Myoshinji Temple

7月度御講原稿

境智冥合と初信の功徳について

今月は、「境智冥合と初信の功徳」と題しまして少々お話させていただきます。

日蓮大聖人は、『曽谷殿御返事』に

仏になる道は豈境智の二法にあらずや。されば境と云ふは万法の体を云ひ、智と云ふは自体顕照の姿を云ふなり。而るに境の淵ほとりなくふかき時は、智慧の水ながるヽ事つヽがなし。此の境智合しぬれば即身成仏するなり。(御書1038)

と、境智冥合するときに即身成仏が叶うと御教示されております。この「境智冥合」について御隠尊日顕上人猊下は、

我々日蓮正宗の正しい僧俗は、御本尊を御本仏様の御当体と拝し、その仏界に我々が境智冥合させていただくということによって、我々の仏界を開かせていただくということでなくてはならないのです。(大日蓮583−73)

と御指南されております。つまり、「境」である御本尊に対し奉り、私達が信の一念である「智」をもってお題目を唱えていくところに境智冥合が叶うのであります。 
 
さて宗教の多くは、拝む対象があり、何を拝むかによって宗派も異なります。また、拝む対象によって、自分の命に感応することが異なります。ですから、拝む対象の本尊をよく選ばなければなりません。

そこで、日蓮大聖人は、末法の衆生を救うべく正しい本尊を顕されました。その根本の本尊こそ総本山富士大石寺の奉安堂に安置されている弘安2(1279)年10月12日御図顕の大御本尊であります。

『経王殿御返事』には、

日蓮がたましひをすみにそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ。仏の御意は法華経なり。日蓮がたましひは南無妙法蓮華経にすぎたるはなし(御書685)

と説かれているように、この大御本尊は、御本仏の御魂なのであります。また、歴代の御法主上人猊下は、日蓮大聖人よりの唯授一人の血脈によって、この御本尊を書写されて各家庭に御本尊が御下付されています。この御本尊には仏力と法力が具わっています。私達は、その御本尊を信じて(信力)行ずる(行力)ことが大切であります。

故に、御本尊を正境と拝し、南無妙法蓮華経と唱え、信力行力を起こすところに、境智冥合して広大無辺の功徳善根を得、あらゆる悩み苦しみを乗り越えられて、悠々とした即身成仏の境涯を得られるのであります。
 
それでも、人によっては、御本尊が正しくとも、長い修行ののちに功徳を受け、成仏の境涯に至ると考えている人がいるかも知れません。しかし、日蓮大聖人の文底下種の仏法は、初信の位にて広大な功徳を受けることが出来るのであります。

日蓮大聖人は『日女御前御返事』に

南無妙法蓮華経とばかり唱へて仏になるべき事尤も大切なり。信心の厚薄によるべきなり。仏法の根本は信を持って源とす(御書1388)

と仰せであります。

私達が御本尊を信じて唱える題目の功徳は、広大無辺であり、その功徳の大小は、信心歴が長いとか短いとか、また教学力があるとかないとかでなく、信心の厚薄によるのであります。ですから、初信の人でも功徳善根が具わるのであります。
御法主日如上人猊下は、

「初信の功徳」ということが言われます。ある人が折伏されて御本尊を頂戴し、そして一生懸命にお題目を唱えていく。「この御本尊は絶対ですよ」ということを聞いて、「そうか」と素直に信じて一生懸命にお題目を唱えてみる。そうすると本当に功徳があるのです。(中略)昨日入信した人であっても、その純粋な気持ちで、無疑曰信の信心に立っていけば、本当にすべてが解決できるのです。これが御本尊のすばらしい功徳なのです。(大日蓮773−35)

と、初信の功徳の大なることを御指南されております。

スリランカ信徒のお話ですが、これから御授戒を受ける方が、すでに数人の新来者を引き連れて、御授戒を受けに来ている姿があったそうです。まだ信心を知ったばかりの方には、豊富な教学力があるはずがありませんが、御本尊様に巡り会えたことを純粋に喜び、無疑曰信にお題目を唱え、それが御本尊様に通じて功徳善根を頂戴しているのであります。また、その功徳の素晴らしさをそのまま他の人々に伝えて折伏されているのであります。

そもそも日蓮大聖人は『三大秘法抄』に

末法に入って今日蓮が唱ふる所の題目は前代に異なり、自行化他に亘りて南無妙法蓮華経なり(御書1594)

と御教示であります。この御文について御法主日如上人猊下は、

自行の題目とは唱題行であり、化他の題目とは折伏行であります。唱題と折伏は一体のものであり、信心を根本とした唱題こそが折伏の源泉となるのであります(大日蓮768—44)

と、唱題に励み、折伏を行ずることこそ、信心の源泉であると仰せであります。

私達は、唱題が自分のための唱題だけに終わらず、折伏成就のために唱題をし、自分の喜び、体験を語り、折伏を行じていかなくてはなりません。

そして、日蓮大聖人の仏法によって世界の人々を幸せに導くべく、西暦2015年の第二祖日興上人御生誕770年を目指して、先ずは、本年の当支部の折伏誓願目標を必ず達成できるように精進して参りましょう。