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小型観測衛星「アスナロ」、12年末にも打ち上げ

掲載日 2011年11月3日

 政府は日本独自の観測衛星システムの整備を急ぐ。経済産業省がNECに委託している小型人工衛星「ASNARO(アスナロ)」の開発を進め、2012年末から13年3月までに打ち上げる。観測衛星「だいち」がトラブルにより5月に運用を停止して以降、現在まで日本自前の観測衛星システムは機能していない。東日本大震災の被災地復興にも衛星画像は必要なため、海外企業からの画像購入に頼っている現状を早期に打開する。

開発中の小型人工衛星「アスナロ」のイメージ(NEC提供)

 アスナロは分解能(撮影した画像で見分けられる最小の間隔)0・5メートル未満、重さ約500キログラムの小型光学衛星。経産省が08年度から支援しNECが開発している。アスナロから送られたデータを受信し画像処理・配信する車載型地上システムを開発するパスコも経産省が支援している。経産省は12年度予算概算要求に約37億円を盛り込む。12年度中には打ち上げ、13年度初めには画像を地上で受けられるようにする。

 日本自前の観測衛星システムは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「だいち」があった。だが予定運用期間を過ぎ、トラブルにも見舞われた結果5月に運用を停止。このため東京電力福島第一原子力発電所の上空からの画像は、米デジタルグローブなどから購入せざるを得なかった。海外企業からの購入は画像1枚当たり100万―200万円と高額。被災家屋の保険金支払いの際には被災状況の確認と証明のために衛星画像が必要になっている。

 アスナロの打ち上げ後、日本政府は13年度に「だいち」の後継機(ALOS〈エーロス〉プロジェクト2号機)、14年度末にはレーダー衛星であるアスナロの2号機を打ち上げる予定。解像度は高いが上空に雲がかかると撮影できない光学衛星と、解像度は低いが天候に左右されないレーダー衛星の連携運用により、高頻度で画像を取得できる体制が整う。

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