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日本のTPP参加、米側から出た「反対」の声  編集委員 中山淳史

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2011/11/2 7:01
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中山淳史(なかやま・あつし) 89年日本経済新聞社入社。産業部、米州編集総局(ニューヨーク)、証券部などを経て産業部編集委員兼論説委員。専門分野は自動車、電機、運輸など。

中山淳史(なかやま・あつし) 89年日本経済新聞社入社。産業部、米州編集総局(ニューヨーク)、証券部などを経て産業部編集委員兼論説委員。専門分野は自動車、電機、運輸など。

 野田佳彦首相が来週にも環太平洋経済連携協定(TPP)に対する日本の姿勢を表明する。「参加」となれば、対中戦略上、日本を必要と考える米国は歓迎するだろう。だが、米国にも産業によっては日本の存在をうとましく感じる勢力もあるようだ。代表的なのが自動車業界である。

関連記事
・10月15日日経朝刊社説「米韓FTAを重く受けとめよ」
・10月27日日経夕刊2面「USTR代表、TPP参加判断『早期に』」
・10月30日日経朝刊3面「TPP『大筋合意』へ前進」」

 猛暑の8月。TPPについて、日米の政府・企業関係者による意見交換会がワシントンであった。米側の出席者はTPPの推進に積極的な企業などで構成する「TPPコアリション」。日本側は経済産業省やトヨタ自動車など大手企業関係者からなる代表団だった。

■日本の自動車市場、閉鎖性変わらずと指摘

今週の筆者
月(国際)藤井彰夫
水(企業)中山淳史
木(国際)脇祐三
金(市場)梶原誠

 出席したある企業関係者はこう語る。「推進に向け、友好的な雰囲気かと思ったら、米側から異論が出た。日本の自動車市場は閉鎖的で、そうした状態が続く以上はTPPに参加すべきではない、と主張していた」という。

 異論を唱えたのは米国の自動車業界団体「米自動車政策協議会(AAPC)」のマット・ブラント専務理事。元ミズーリ州知事で、最近になって会員の米自動車メーカーがスカウトしたという論客だ。

 ブラント氏が言うには、「日米自動車合意から15年もたつが、日本市場では米国車のシェアが上がっていない。日本はいまだに閉鎖的であり、TPPのルールづくりに参加したら一段と不均衡を生む結果になる」

内閣記者会のインタビューで、TPPの交渉参加に前向きな考えを表明した野田首相(10月17日午後、首相官邸)=共同
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内閣記者会のインタビューで、TPPの交渉参加に前向きな考えを表明した野田首相(10月17日午後、首相官邸)=共同

 まずは、米国や豪州、シンガポールなど、すでに加盟している9カ国が話し合ってルールを決定し、「日本はそれに従ってTPPに参加すればいい」との主張らしい。

 AAPCはオバマ政権にもこう訴え、日本参加への反対を呼び掛けているという。ただ、大統領は今のところ自動車業界とは一線を画す。自動車問題ではすでにゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの法的整理に際し6兆円もつぎ込んでいる。米国には問題を抱えた業種はほかにも多く、それらを支援するにはTPPを広げていかないといけない、というのが現在の考え方だ。

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