東京電力福島第一原子力発電所の2号機内の気体から放射性物質のキセノンが検出された問題で、東京電力は、検出したキセノンの量などの解析結果から、核分裂が連続する臨界が起きたのではなく、別の放射性物質が自然に核分裂したことが原因と判断したことを明らかにしました。
福島第一原発2号機では、1日と2日、格納容器の中の気体を採取し、分析した結果、核分裂した時にできる放射性物質のキセノン135がごく微量、検出され、東京電力は、最近核分裂反応が起き、核分裂が連続する臨界が一時的に一部の場所で起きた可能性もあるという見方を示していました。これについて東京電力は、もともと核燃料の中にあるキュリウム242とキュリウム244という放射性物質が、自然に核分裂をしてキセノンを発生することから、その量をもとにキセノンの濃度を計算したところ、今回、検出された濃度とおおむね一致したということです。また、仮に臨界が起きていたとすると、キセノンの濃度は今回よりも大幅に高くなるということで、これらの分析から、今回のキセノンは臨界に伴って発生したものではなく、「自発核分裂」によるものだと判断したということです。「自発核分裂」は、ウランではない別の放射性物質が自然に核分裂する現象で、臨界は伴わないということです。東京電力は、これらの調査結果を経済産業省の原子力安全・保安院に報告し、妥当かどうか評価してもらうとしています。
福島第一原発2号機内の気体から放射性物質のキセノンが検出された問題で、東京電力が核分裂が連続する臨界が起きたのではなく、別の放射性物質が自然に核分裂したことが原因と判断したことについて、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は「自発核分裂の可能性は高いと思うが、科学的に見て、局所的な臨界の可能性をすべて否定できるわけではないので、東京電力の調査内容を含めて専門機関の分析結果を見て評価したい。さまざまなリスクを分析したうえで、ホウ酸水の注入など、万一の事態に備えた設備面での対応ができているかどうか、東京電力に確かめていきたい」と話しています。