名古屋グランパスは2日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで約1時間の練習を行い3日のC大阪戦(豊田ス)に備えた。首位・柏に勝ち点3差の3位に「負けたら終わり」というドラガン・ストイコビッチ監督(46)は離脱者が相次ぐなかで、選手らのワールドカップ(W杯)談議からさい配のヒントを得て、戦略を練った。
フィットネスメニューの最中に、闘莉王を中心にW杯の話題で盛り上がると、ストイコビッチ監督が選手たちの会話に首を突っ込んだ。最初は2006年ドイツW杯のブラジル戦で三都主、玉田のコンビで決めたゴールを冷やかし交じりに振り返っていたが、ピクシー監督は強引に話題をケネディに振った。
「ところでジョシュアは日本戦で、どんな状況で出たの? 0−1? 1−1?」
同じ大会の日本−オーストラリア。日本が1−0でリードした後半途中、長身のケネディが出場すると流れが変わり、日本は3失点で逆転負けした。ケネディに聞いて「ふんふん」とうなずくストイコビッチ監督。おどけていながら、目は笑っていない。どうやら選手らの会話から、さい配のヒントをつかもうとしているようだった。
C大阪戦は、決して万全の態勢ではない。MFダニルソンが出場停止。同じボランチの中村も体調不良で出場が微妙になり「いつもチームを助けてくれた」(ストイコビッチ監督)と愛してやまない同郷のMFブルザノビッチが電撃退団し、選手起用の幅は狭まってきた。
「ナオシ(中村)はクエスチョンマーク。(欠場の場合は)磯村を使うか、小川、藤本を中央に持ってくるか、いくつかバリエーションはある」と、ピクシー監督は明確な答えを避けた。コマが限定されるC大阪戦では金崎、永井のFWの使い方など、さい配の重みが増すだけに、わらにもすがる思いで、珍しく選手たちの会話に加わっていた。
ケネディの次は、2002年W杯の三都主。「FKがクロスバーに当たってさ」と闘莉王がトルコ戦を解説すると、またもやピクシー監督は「監督はトルシエだったなあ」と相づち。決勝トーナメント1回戦で三都主をサプライズ起用したがトルコに敗れ、さい配が論議を呼んだ試合だけに、食い付きがいい。
変えるべきか、変えざるべきか。いくつかの難しい決断を迫られるピクシー監督は、ヒントをつかんだように「秘密のカードを使おうかな」と意味ありげに笑った。 (木本邦彦)
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