●大阪市バスの粉飾問題
以下はサンケイ。
大阪市のバス事業は市内独占。キロ当たり、一台あたりの収入は民間をはるかに上回る。ふつうの会社が経営すれば黒字のはずだ。ところが最高年収1300万円の運転手の給与、2,3割は過剰な人員のせいで過剰コスト、大赤字に陥っている。
そこで考え出されたのが地下鉄の黒字をこっそりバスに流し込み、赤字隠しをするという案。昨年は議会などから批判を浴びて取り下げたものの、また、出してきた。
これははっきりいって粉飾会計操作。赤字を隠すことで総務省の規制基準を逃れようという姑息な根性が丸出しである。そこまでして高年収と過剰人員を維持したいのか?「市民の足」の美名の下に誰も乗らないカラのバスが今日も市内を走り回っている。
「職員による、職員のための、職員のバス・・」。こんなものの赤字補填に地下鉄の安全投資のための収益を削ろうとする行為を見逃していいのか?地下鉄も大赤字のなか、事実上の粉飾決算をしている。将来の修繕積立金などを加味すれば実質赤字になるはずだ。交通局はいったい誰が管理しているのだろうか?徹底的な会計検査をすべきだ。
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大阪市バスに67億円支援 地下鉄会計から
慢性的な赤字経営に陥っている市営バス事業を支援するため、大阪市交通局が今年度、地下鉄事業会計から67億7000万円の財政支援を行う案をまとめたことが6日、わかった。同交通局は「財政支援がなければ、平成20年度決算からバス事業は経営健全化団体に陥り、自主的な見直しが難しくなる」などと支援理由を説明するが、3月に策定したばかりの経営計画を1年もたたずに撤回することになる。また21年から予定していた支援を前倒しすることで、23年度までの支援額は、10億円以上膨らむ見通しになっている。
地方公営企業は本来、独立採算が原則とされる。このため東京など他地域に比べ割高な運賃で黒字を維持している地下鉄事業から、バス事業に財政支援しようとする同交通局の方針には、市役所内部からも「地下鉄だけを利用している乗客に説明がつくのか」「赤字路線の見直しなど抜本的なバス事業の改革をまず行うべきだ」といった厳しい声がある。
市営バス事業は、利用客の減少などで慢性的な赤字経営で、19年度には一般路線105系統のうち77系統と、コミュニティーバス路線30系統のすべてが赤字。同年度決算見込みでは経常赤字は20億円、累積赤字は556億円に上っている。
20年度決算から適用される地方公共団体財政健全化法では、資金不足比率が20%以上の場合は経営健全化団体になり、経営健全化計画を策定する必要がある。同交通局は、支援がない場合、20年度のバス事業の資金不足額は86億円で、資金不足比率は45・1%になり、経営健全化団体になることは避けられないとしている。
こうした事態を受け、同交通局はもともと、20年度の当初予算編成時から財政支援を盛り込みたい意向を持っていたが、抜本改革を行わないまま赤字を補填することに対し「安易な赤字の埋め合わせは市民の理解を得られない」などとして市役所内でも批判があがり、3月に策定した経営計画では、支援は1年後の21年度から実施すると発表していた。
支援が前倒しになることで、同交通局の想定では、67億7000万円を地下鉄事業会計からバス事業に繰り入れることになり、資金不足比率を9・5%まで引き下げられる。一方で経営計画で21~23年度に221億円としてきた支援額は、20~23年度で236億円に膨らむ見通し。
同交通局では、経営健全化団体になれば、自主的にバス事業を見直すことができなくなり、市の交通ネットワークが維持できないとしているが、経営計画を1年足らずで撤回することは異例で、その場しのぎの対応に批判が出そうだ。
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登録日:2008年 12月 03日 08:42:16
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- プロフィール
- 上山信一
- (男)
- 慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ53歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高校、京大法卒。米プリンストン大学修士。著作等詳細はhttp://ueyama.sfc.keio.ac.jp
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