気象・地震

文字サイズ変更

特集ワイド:女たちの脱原発 座り込み集会ルポ

  ■

 座り込み2日目。関西電力が経産省原子力安全・保安院に対して大飯原発3号機(福井県おおい町)の安全評価(ストレステスト)を提出し、全国に先駆けて再稼働に向けた手続きが始まった。フクシマを置き去りにして全国の原発で「安全確認」のシナリオがじわりと進行する。

 保安院が入る同省別館前で抗議していた宮城県角田市の農家、杉山仁子さん(51)は「露地ものが健康な野菜だとされていたのに、事故後はハウスものが安全ということになってしまった。自然に近ければ近いほど危ないということに、価値観が180度変わった。生き方まで否定されたような気持ちです」と嘆く。

 自然に近い農業を実践してきた。福島第1原発から約60キロ。事故後、屋外で飼っていたニワトリのタマゴから微量の放射線が検出された。屋内飼育に変えて検出されなくなったが、養鶏も、農業自体もやめようかと思い悩んでいる。

 「消費者は、政府に頼らず自ら安全かどうかを判断する材料を必要としている。食品添加物のように放射線量を表示して売らねばならない時代になってしまった……」

 杉山さんら8世帯はカンパを募り放射線測定器を共同購入。今月下旬、一般市民も利用できる低料金の測定室をオープンさせるという。

毎日新聞 2011年11月2日 東京夕刊

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東海大学:建築学で宇宙に迫る

「はやぶさプロジェクト」のサポートチームに参画