米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の工場をオバマ米大統領と訪れ、「米韓FTAは両国の利益になる」と訴える李明博韓国大統領=10月14日、米ミシガン州デトロイト郊外(AP)【拡大】
外交通商省の金宗●(キムジョンフン)通商交渉本部長は「FTAは、ライバル国より早く妥結するほど、先取りによる利益など、プラス効果が高まる」として、米韓FTAの早期批准を求めている。
東亜日報によると、韓国の昨年の貿易総額8915億ドル(約69兆3300億円)のうち、17.3%がFTA締結国・地域が相手だった。また、韓国の貿易黒字の39%はFTAを交わした国・地域に対するものだった。FTA発効前後で比べると、貿易額は60%、貿易黒字は168%増加した。これらには今年7月にFTAが暫定発効したEUとの貿易は含まれていない。
◆日本の決断を迫る
同一の市場に対して、FTAを結んでいる国と結んでいない国が競争した場合、FTAを結んでいる国が有利になる。
例えば、日本企業が欧州市場で韓国企業と競争する場合、韓国は無関税で欧州に部品や製品を輸出できるが、日本製の部品や製品には関税がかかる。このため日本製品が割高となる。
しかし、日本企業はEU域内に生産拠点を移すことで、韓国企業に対抗することができる。FTAの「蚊帳の外」で損失を被るのは日本にとどまる企業や国内の雇用だ。
日本では「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」参加可否への決断が差し迫った政策課題となっている。TPPが実現すれば、実質的に米国とFTAを結んだのに等しい効果が期待される。TPPへの参加が遅れれば、他の参加国に対して相対的に不利な貿易条件を負うことになる。日本政府に残された時間は少ない。 (ソウル支局)
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