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玄海4号機再稼働 地元の同意得ぬまま 広がる波紋 | ||
誤った手順書に沿って作業をしたことが原因で自動停止した九州電力玄海原発4号機(東松浦郡玄海町)について、九電は31日、再稼働する方針を佐賀県や玄海町に伝えた。地元の同意なく再稼働に踏み切ることに反原発団体の関係者は「正気の沙汰とは思えない」と強く反発。古川康佐賀県知事は「国の考えを聞いてみたい」と自らの考えは示さず、岸本英雄玄海町長は「国が認めるなら仕方がない」とし、知事と同様に国に説明を求める考えを示した。
「事故を防ぐ対策について十分な説明もないままの再稼働は許されない」。プルサーマルと佐賀県の100年を考える会の共同世話人の野中宏樹さんは怒り、「九電はもっと謙虚にならなければ自らの手で未来を閉じることになる」と、強く批判した。
4号機は12月に定期点検入りを控えている。運転停止のまま定検に入ることや、定検の前倒し実施を想定する見方も多かった。玄海原発プルサーマル裁判の会の石丸初美代表は「3・11以降、状況は何も変わっていないのに再稼働に猛進するとは。正気の沙汰とは思えない。再稼働阻止を訴えていく」と言明した。
古川知事は宮崎県の九州知事会に出席していた。九電が再稼働方針を発表した午後7時半すぎに県が「自動停止の原因と対策については、国が責任を持って判断されたと認識している」とする知事コメントを発表。懇親会に参加していた古川知事は、出口で待つ報道陣を避け、姿を消した。
佐賀県は午後4時過ぎ、九電佐賀支社からの電話で再稼働方針を知った。原子力安全対策課は「判断理由など詳細な説明はなかった」と、一方的な“通告”に戸惑った様子。県の同意のない再稼働方針について今村盛史課長は「納得できるか、できないかというより、国自身がどういう考えで判断したのか聞きたい」と話した。
岸本町長は夕方、「事業者判断で運転する」と九電から電話を受けた。以前は定検前の運転再開は困難という認識を示していたが「地元の同意が必要な事案ではない。気分はよくないが、国が回しても問題ないと認めるなら異論を挟む余地はない」とした。
ただ「国はやらせ問題はあれだけしつこく言っているのに、すぐOKというのはいかがなものか」とも述べ、「理由を聞きたい」と語った。
九電幹部は「地元との相談なしに本当に再稼働できるのか」と疑問視。一方で「(4号機が動かせないことで)1日3億円の費用増になっている。本当に動かせるのならサプライズ」と語った。 |
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2011年11月01日更新 |