総括原価方式と呼ばれる電気料金の決め方の見直しを行う経済産業省の「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」(座長・安念潤司中央大教授)が1日、初会合を開いた。枝野幸男経産相は「現制度のもとで早急にできる対策を検討してほしい」と述べた。
7人の委員のうち2人は、政府の第三者機関「東京電力に関する経営・財務調査委員会」のメンバー。調査委事務局次長を務めた大西正一郎弁護士が、東電を例に、総括原価方式の実態と問題点を説明した。
総括原価方式では、電力会社が料金の値上げを申請する際、認可をするために経産相が原価の中身を審査する。ただ、値下げ時は審査のない届け出だけで、10年以上にわたり原価が十分に調べられてこなかった。
東電が届け出ていた修繕費など一部の原価は、料金計算の前提になる見積額が、実際に使った金額を常に上回り続けていた。この点について、委員の間では「恒常的に過大に見積もられていることは問題」などの批判が出た一方、「経済環境の変化で変動はありうる」と理解する声も出た。
有識者会議は、この方式の運用の改善点を来年初めまでにまとめる。経産相はこの会議とは別に、電力事業全体に関する改革を検討する場も11月中に設ける方針だ。(中川透)