ある中古車業界関係者は汚染車両流通の“手口”を明かす。
「国内向け中古車には放射線量の規制がないし、過去のナンバーは車検証に記載されないので、登録を抹消して別の地域で登録し直せば福島県内で使われていたことはほとんどバレない」
国内の中古車市場には汚染車両がすでに出回っており、ユーザーが気付かずに使っている可能性すらあるというのだ。
ネット上にも、真偽のほどは不明だが「震災前から(福島県内に)置きっぱなしになっていた車は、結局いくら洗ってもだめ(除染できず)で、そのままオークションに流しました」などとする書き込みがある。
汚染車両が何台も発生していることを裏付けるように、今年8月、福島県内の自動車オークションで出品車両から高レベルの放射線量が検出され、出品者の国内自動車メーカー系列ディーラーに返品される“事件”があった。
このメーカー関係者によると、顧客から乗用車を下取りし、オークションに持ち込んだ。オークション業者は持ち込み車両の放射能検査を独自に行っており、基準値(毎時1マイクロシーベルト)を上回ると出品できない。
“返品”はもう1台あり、計2台出た。偶然なのか、2台とも東電関係者の車で、福島第1原発から30キロ以内で使われていた。改めてディーラーで2台の放射線量を計測したが、オークション業者の基準値を最大で20倍近くも上回っていた。
なんとかしようとスチーム洗浄機で除染したが、効果はサッパリ。汚染車両を売るわけにもいかず、シートをかけて保管しているのが現状。
メーカー関係者は「他のメーカー系列ディーラーや中古車業者も汚染車両を何台も抱えているのは同じ」と明かす。
「国が早く流通の規制値や対処法などを設けないと、汚染とは無関係の中古車にまで風評被害が広がってしまう」
メーカー関係者は焦りを隠さない。
(紙面から)