さらに、韓国料理のメニューに添えられた英文の説明も、外国人にとって非常に分かりづらいものだった。英文の説明をそのまま訳すと「コウライエビの蒸し物」は「コウライエビ・牛肉・キュウリのサラダ」、白キムチは「酸っぱい液体に漬けたキムチスタイルの白菜」、野菜入りカルビチムは「しょうゆに漬けて煮たカルビと野菜」という意味になった。デザートに出された梅雀菓(韓国風かりんとう)、3色サルカンジョン(韓国風おこし)、チュンピョン(マッコリ入り蒸し餅)については、何の説明もなく、ただ英語で「Maejakgwa」「Samsek Ssalgangjong」「Jeungpyeon」と書かれているだけだった。
ニューヨークのコリア・タウンにある韓国料理店を訪れるニューヨーカーたちは、慣れた箸遣いでサムギョプサル(豚バラ肉の焼き肉)を楽しみ、キムチの味に魅了される。韓国料理でテーブルいっぱいに並ぶ「バンチャン」は、ニューヨークでもかなりトレンディーな言葉となっている。そんなニューヨーカーたちが韓国の宮廷料理に期待していたのは、長い時間待たされる正体不明なコース料理ではなく「主食」と「おかず」が明確で、味と栄養の両方が完璧な食事(イベントで配布されたパンフレット『韓国の宮廷料理のはなし』より)だったのではないだろうか。このイベントには、政府予算を含め40万ドル(約3100万円)の費用が投じられたという。朝鮮の王が本当にニューヨークを訪れていたら、このイベントをどう評価しただろうか。