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trend:中東 日本アニメ人気拡大

イエメンの首都サヌアのアニメショップ「アラブ・アニメーションズ」。店長のオサマ・ハティーブさん(手前)は「日本のアニメは世界一。売り上げも上々」と語った=2011年10月22日
イエメンの首都サヌアのアニメショップ「アラブ・アニメーションズ」。店長のオサマ・ハティーブさん(手前)は「日本のアニメは世界一。売り上げも上々」と語った=2011年10月22日

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 民主化騒乱に揺れる「アラブ最貧国」イエメンの首都サヌア。その一角で日本アニメのCDを販売する「アラブ・アニメーションズ」が営業している。オサマ・ハティーブ店長(31)によると、「ワンピース」など日本でも人気の作品約150タイトルをそろえる。売り上げは順調に伸びており、今年1月に支店をオープンしたほどだ。

 日本のアニメや漫画は世界で高い評価を受ける。中東でも、人口の過半数を占める20代以下の若者を中心に、熱心なファンが増えている。衛星テレビやインターネットの発達で裾野が広がった。日本貿易振興機構のアニメ・ゲーム市場調査(10年9月)は、オイルマネーの集まるペルシャ湾岸諸国や人口8400万人のエジプトなどが「未来の有望市場」であることを示す。

 文化背景の違う日本で生まれたアニメや漫画が、なぜ中東で受けるのか。ハティーブさんは「ストーリーの面白さ、絵の質の高さが世界の人々を引き付ける」と解説する。サヌアでゲームショップを経営するザキ・シャムランさん(40)は「日本のアニメが強調する友情や助け合いの大切さは、我々の価値観にも合う」と分析する。

 先月、エジプトの首都カイロの日本大使館で人気作品「サマーウォーズ」の上映会があった。約100席の会場は9割がエジプト人で埋まった。大使館のアンケートに「日本アニメをどんどんやって」との意見が多く寄せられた。11月にも別の作品を上映予定だ。

 カイロ郊外に住む薬剤師のヤスミーン・アブデルラヒムさん(24)も日本アニメの大ファン。取材場所の喫茶店で、バッグ二つに詰め込んだ漫画雑誌やキャラクター人形を披露してくれた。古本屋を回り、25エジプトポンド(約317円)の漫画本を見つけた時は「うれしさで値切るのを忘れた」。

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイには08年11月、英訳の日本漫画本も販売する紀伊国屋書店がオープン。山田拓也副店長(39)によると、日本漫画は仕入れ全体の1割未満だが、売り上げは当初の約2・5倍増。月2000点以上だ。この店では欧米人の利用が主流だが、漫画コーナーに限れば、伝統衣装を身にまとった顧客がほぼ半数だという。

 ただ、中東は日本や欧米に比べ保守的傾向が強く、当局の検閲もある。「暴力や裸体が含まれる青年向け作品や宗教色の強いものは要注意」(山田さん)のようだ。【サヌアとカイロで和田浩明】

毎日新聞 2011年10月31日 東京朝刊

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