先週の18日、野田首相は韓国を訪問した。
李大統領と日韓首脳会談を行うためである。
いままでだと、首相就任後、まずアメリカを訪れた。
そして中国を訪れた。
とくに野田さんの場合、まず中国に行かなければならない。
国内ではあるが、沖縄にも行くべきである。
アメリカには9月下旬に行っている。
これが野田さんの外交デビューだったが、国連総会に参加するためで、
今回の訪韓が初めての外国訪問と言っていいだろう。
なぜ、訪韓を急いだのか。
韓国では従軍慰安婦の問題が再燃していた。
韓国の憲法裁判所が、韓国政府が解決のための措置をとる義務が
あるにもかかわらず、履行してこなかったのは違憲であるという判断を
下したからである。
だから、野田さんが訪韓したら、慰安婦問題が最大の懸案になるだろう、
いくつかの新聞はそう書いた。
ところが、まったくそうはならなかった。
では、野田さんは何のために韓国に行ったのか。
会談で何が話し合われ、どういう成果が出たのか。
僕は、野田さんの訪韓の最大の目的は、TPPだと思っている。
11月12日にハワイでAPECが行われる。
それまでに、TPP に参加するかどうかを日本は表明しなくてはいけない。
ここにきて、野田さんはTPP参加を表明した。
ところが国内はおろか、民主党内でも意見が分かれ、取りまとめは相当
難航するだろう。
そこで野田さんは、日本と韓国、そして中国の3か国で一種のTPPを
作ろうとしたのではないか。
日韓ではEPAの交渉をしているが、そこに中国も加えて3か国にする。
つまり日韓中で経済連携をやることで、TPPとのバランスをとろうと
している。その交渉が水面下でいま、練られているのである。
僕はそう思っている。
日本は、アメリカの同盟国であるということを前提としながら、
中国とも経済連携をする。
「どじょう」と言いながら、まったく違う。
野田さんが初めて、戦略的に動いたのではないか。
この「どじょう戦略」に僕は期待したい。