東京電力福島第一原発の事故で汚染された土を蒸し焼きして放射性セシウムを分離する実験が26日、福島県飯舘村で公開された。除染で出る土壌などの廃棄物からセシウムを除ければ元の場所に返すことも可能で、処分する廃棄物の量の減少につながるという。
日本原子力研究開発機構と農業・食品産業技術総合研究機構が、ごみ焼却施設「飯舘クリアセンター」で実施した。こうした実験は国内初という。
実験では、飯舘村の農地の土10キログラムを電気ヒーターを使い、セ氏800度で10時間、蒸し焼きする。セシウムは約640度を超えるとガスになるため、特殊な布のフィルターと、原発でも使われているガラス繊維のフィルターでガスをこしとる。
原子力機構の大越実・技術主席は「土に含まれるセシウムが数分の1になれば、廃棄物にしなくて済む。農土として再利用できるか検討したい」と話す。
同機構などは、汚染された植物を焼いて減量する実験もしている。こちらはヒーターの温度を600度に抑えるため、セシウムを取り込んだまま植物を圧縮できる。ヒマワリで実験したところ、量を数分の1程度に減量できたという。(杉本崇)