公認会計士 A Certified Public Accountant

租税法1位合格の秘訣 榎本 恒×合格者立春が過ぎ少し春めいた陽気の2月上旬、 平成22年公認会計士試験論文式試験の上位合格者が、 全国から横浜・日吉の地に終結した。 公認会計士試験における真の学習法とは何か。

プロフィール

徳田 華子さん (慶應義塾大学法学部3年)

会計学1位・租税法1位合格

徳田 華子さん (慶應義塾大学法学部3年)

平成21年の12月に実施された平成22年第T回短答式試験に合格後、LECの論文対策講座を受講。平成22年論文式試験では見事一括合格を果たしただけでなく、会計学、租税法では成績1位で合格した。

岡 朋宏さん (甲南大学法学部卒)

監査論5位合格

岡 朋宏さん (甲南大学法学部卒)

約半年間の入門講座のみを受講し平成21年短答式5月試験に合格。平成22年論文式試験では見事一括合格を果たすだけでなく、監査論においては5位という成績で合格。大学生活と両立しながら、短期で上位合格を実現した。

鍛田 仁美さん (立命館大学経済学部卒)

企業法1位合格

鍛田 仁美さん (立命館大学経済学部卒)

企業法に苦手意識を持っていた事から、受験生としての自身を徹底分析。法律科目は「条文+趣旨」をワンセットで理解すべき事の重要さに気付く。条文に対する造詣は深く、答案構成からは高い文章表現力が伺える。平成22年公認会計士試験論文式試験において企業法:成績1位で合格。

松本 翔

コーディネーター

松本 翔LEC専任講師

公認会計士・税理士・CFP認定者。合格後はあずさ監査法人国際部(KPMG)にて実務に従事。2010年に公認会計士・税理士事務所及び株式会社を起業。同年、LEC専任講師として教壇に復帰した。

対談

一生の仕事があるって素敵だなと思い、公認会計士試験の予備校に通い始めました。-鍛田

松本:まず、公認会計士を目指そうと思ったきっかけをお伺いします。

岡:僕は、勉強を始めたのが2009年10月でした。その当時、大学3回生で、ちょうど就職活動をするかどうか迷っていました。運も悪く、その年の9月にリーマンショックがあり、就職状況が悪化していました。普通に就職活動をしても・・・という思いもあって、ここは国家資格を取って、プロフェッションとして活躍していこうと思いました。僕は法学部だったのですが、あまり法律には興味がなく、どちらかというとコンサルティング系の業務に就きたいという希望がありました。そこで、せっかく資格を取得するなら将来はコンサルティング系の業務にも幅のある資格が良いのでは、ということで勧められて、会計士の勉強を始めました。

徳田:私は高校が大学の附属高校だったので、受験を経験することなく大学に進学したのですが、受験の時に勉強しなかった分、勉強しようと思い資格取得を意識しました。女性ということもあり、今後の人生を考えると国家資格を持っていた方が選択の幅が制限されないと思いました。公認会計士に決めた理由は、高校3年生の3月に、大学の近くの予備校で簿記の無料講座があり、それに参加したときに簿記が楽しかったのがきっかけです。その時に『簿記なら公認会計士を』と勧められ、公認会計士への挑戦を始めました。私は法学部政治学科なので、法律系資格も考えたのですが、簿記の勉強をしてみて計算がとにかく楽しくて、目指すなら自分に合っているものをということで目指しました。

鍛田:私の場合、大学の時に所属していたゼミが会計系のゼミだったので周りに受験生もいて、公認会計士という資格は知っていましたが、その当時は自分に向いていないと思い、目指すこともなく普通に就職しました。公認会計士試験への挑戦には至りませんでしたが、私も徳田さんのように大学に入って必修授業で簿記を勉強し、簿記のおもしろさに目覚めた事もあり、会計の知識を活かせる仕事に就きたいと思って、就職先は会計事務所を選びました。そこで、80歳位で今も活躍されている事務所の先生の姿を見て『一生の仕事があるって素敵だな』と思い、私も今のうちに取れたらなということで、一念発起して事務所を辞めて、公認会計士試験の予備校に通い始めました。 合格者たちと松本講師

松本:学生時代から簿記や公認会計士の存在を知っていて、実際に働く現場で資格を使っている人を見て、私もこうなりたいなと感じたんですね。

鍛田:はい。

前年の反省を活かし、そこをフォローして見事合格された-松本

松本:始める理由は三者三様ですね。論文を優秀な成績で合格されている皆さんですが、勉強していた中で苦労などを教えて下さい。

岡さん 岡:私はLECの短答合格コースという、初学から短答式試験の合格を目指すコースを受講していました。コースの中の入門講座がスタートだったんですが、奇跡的にも入門講座だけで8ヶ月後の短答式試験(2009年度5月)に合格できました。

松本:入門講座だけで? すごいですね。

岡:そうですね(笑)。でもそれで気をよくしてしまい、3ヵ月後の論文式試験で本当に散々な結果で・・・本当にあと1年で間に合うのかなという成績が返ってきたんですよ。自分の苦手科目には気づいていたんですが、顕著にその結果を突きつけられましたね。

松本:苦手科目は何だったのでしょうか?

岡:企業法と財務諸表論です。それを克服する1年になるなと思い、論文講座からは、学習の比重を理論科目に置いて重点的に潰してくようにしました。その時に感じたのが、入門講座でやったことが活きているなという事です。入門講座では主に個別財務諸表や個別論点の計算を中心に学習したのですが、そこで個別論点の計算を確実に潰せていましたので、論文講座ではほとんど計算に時間を割く事なく、苦手な理論科目に割く事が出来ました。そのおかげで監査論は5位と(笑)。

松本:入門講座で使っていたテキスト・教材の良かった点は何かありますか。私は現在、入門講座を担当しているので、ぜひ参考にさせていただきたいのですが。

岡:理論に関しては『一問一答問題集』ですね。一問一答問題集は本当に回しているだけで短答式試験で確実に点が取れました。計算に関しては簿記の入門テキストです。今思ってもあのテキストはすごく完成度が高かったです。

松本:本当にあの簿記のテキストは良くまとまっていて、幅広く情報を掲載している事はもちろん、取り扱っている各問題も難しすぎず、良い問題だけをピックアップしていると思います。問題集に手を出さないでも、テキストの設例だけを何回も何回も解けば実力がつくように出来ていますよね。岡さんはそれを実践した形ですね。

岡:はい。そのおかげで論文に専念してからは計算に時間を割かなくて済みました。本当に授業でやったことを復習するだけといった感じだったで、その分理論に時間を回せました。

松本:8ヵ月で短答に受かったというのは、LECの教材だけを本当にシンプルに有効的に活用したということですね。何回か繰り返されたのですか?

岡:そうですね。簿記のテキストに関しても、8ヵ月で10回以上、回しました。あの時頑張った事が知識の定着に繋がったと思います。

入門期の基礎を疎かにしてしまった事が後になって響いてしまった-徳田

松本:論文には前年の反省を活かして、そこをフォローして見事合格されたのですね。徳田さんはいかがですか?

徳田:私は逆に入門期の基礎を疎かにしてしまった事が後になって響いてしまったように思います。基礎を理解しないまま、表面上の計算力だけで短答式試験に合格してしまったので、短答式試験(2009年12月)が終わった後に、このままで8ヵ月後(2010年8月)の論文式試験に受かるのかすごく不安になったのを覚えています。そこで、色々と探して出てきた答えがLECでした。LECでは特に苦手だった管理会計論を最初に取った(論文グレードアップ答練:管理会計論)のですが、そこで改めて「基礎が重要」ということに気づかされました。基礎を疎かにしていた分、学び直すことが大変で、とにかく時間が足りないと感じて泣きながら(笑)DVDを見たこともあり、1日の勉強時間が多くなり大変でした。基礎がしっかり入っていないと、上級から巻き返すのは本当に大変なんです。

松本:短答に受かってから、基礎力が足りないなって感じたのですか?

合格者と松本講師 徳田:はい。計算は得意な方だったので、それだけで短答式試験を乗り切ったような感じでした・・・。でも、これは本当に駄目なケースなので、これから勉強される方は入門期で基礎を定着させてから、上級に行く事をお勧めします。私みたいな辛い思いはしなくていいので(笑)。本当、もう一度やり直せるのなら、入門期からきちんとやりたいです。

松本:徳田さんの思う、入門期はこうやって過ごすべき!みたいなのはありますか?

徳田:入門期の基礎は本当に大切で、色々な方が仰っている様に、何回、入門テキストを繰り返せるかが鍵になると思います。知識が定着して科目毎の学問の体系を理解していけば、いくらでも応用が利いてくると思うので、枝葉の細かいところに固執せず、総論の大きいところからスタートして、幹をきちんと育てるような入門期を過ごして欲しいと思います。

細かい論点に拘って無駄に時間を過ごすのではなく、全体構造をいち早く体に染み込ませることが大切-松本

松本:そうですね。入門期は時間的にも余裕があるせいか、何でもかんでも闇雲に手を拡げてしまいがちです。でも、細かい論点に拘って無駄に時間を過ごすのではなく、全体構造をいち早く体に染み込ませることが大切ですね。ちなみに、徳田さんは租税法も1位で合格されていますが、租税法についてはどのように学習されましたか?

一問一答問題集 租税法 徳田:租税法は短答が終わってから勉強を始めました。講義は短答前から始まっていたんですが、まずは短答に受かりたかったので、それもほとんど見ていなくて、短答が終わってから本格的に学習を開始しました。LECでは論文グレードアップ答練と一問一答問題集を使用した講義を受講しましたね。12月の短答が終わってからは租税法と会計学に力を入れていました。

松本:1日に大体どのくらい勉強していましたか?

徳田:私は性格的に心配性なので、1日に14時間は(笑)勉強していました。それに、12月からLECで始めるというのもあって、それ位時間をかけないと消化できない状況でした。LECの教材を見て、すごくまとまっているなって感じて、論文式試験までに絶対にこの教材をマスターしたい、これをしっかり染みこませてから論文に挑みたい、と思ったので。

松本:それは泣きながら(笑)?

徳田:はい、泣きながら(笑) 時間がかかっちゃいましたね。

松本:でもこうやって優秀な皆さんのお話をお伺いして改めて感じたのは、入門期から与えられた教材をシンプルに何回も繰り返す、というのが一番力が付くという事ですね。

徳田:そうですね。私の場合は結構無理もしちゃいましたけど、LECの本来のスケジュール通りに沿って学習すれば、もっと効率よく学習できたと思います。

松本:現行では短答と論文の出題範囲が明確に棲み分けされていますから、短答は短答、終わってから論文という講座しかLECにはありません。そういうのがLECの強みでもありますからね。適用されるタイミングも教材もうまく活用して頂けると、短期で合格して頂けると思います。 続いて、鍛田さんはいかがですか?お仕事を辞められてから専念されたという事ですが、その間に辛かったことや大変だった事があれば、お聞かせください。

感触としても企業法は苦手だなというところでした。-鍛田

鍛田さん 鍛田:私は2人よりずっと受験生活が長かったので、辛いこともたくさんありました。2007年3月に仕事を辞め、幸いにも次の年(2008年5月)の短答式試験に一発で合格したんですが、その当時は合格基準が65%というちょっと緩い時期で・・・。受ける前に公認会計士試験はすごく難しいというイメージがあったので、2〜3年で受かればいいなという頭で始めたんですが、短答を1年目で受かったことで、これ位でいけるのかなと気を良くしまして(笑)。その結果、自分に甘えが出て、少し勉強をサボっちゃったんですね。そしたらその年の論文式試験は手も足も出ないような状況で・・・。受けた感触ですぐに分かる位でした。勉強時間が足りていないのは自分でも自覚していましたが、あわよくば科目合格をと思っていたんですけど、手も足も出ない状況で、散々な結果が返ってきました。 その時に、もう一度自分自身の実力を見つめ直して、基礎からもう一度やり直そうと思って、1年間頑張りました。その次の年では1年目と比べて自信はあったにも関わらず不合格で、経営学と監査論は足きりギリギリの成績でした。原因はここかなと。企業法と会計学、租税法は合格レベルに達していたんですが、会計士試験は満遍なく取らなくてはいけなくて、何か悪い科目があってはダメと言われていたので、それを再認識しました。その次の年は経営学と監査論に重点を置きつつ、他の科目はブラッシュアップさせていくようにしました。

松本:鍛田さんは企業法を1位合格されていますよね。前年の企業法は科目合格ではなかったんですか。

鍛田:そうですね。科目合格の偏差値が56位だったと思うんですけど、その時は52位でした。総合で52位だったら合格というラインだったので、科目合格には全然足りなくて、感触としても企業法は苦手だなというところでした。

松本:それからの1年で急激に伸びたと言う事ですよね。何があったのか、詳しくお伺いしたいと思います。

鍛田:企業法は、まず問題集や答練の解答を忠実に再現する、真似する所から始めました。企業法の場合は大事な文言、テクニカルタームがあると思うんです。LECの『一問一答問題集』だと太文字にされている文言とかは、抜かしてはいけないキーワードだと思うので、そこをしっかり覚えました。それから、やはり企業法に一番重要な所、条文に忠実に書くという事を意識しました。あと、序論、本論、結論じゃないですけど、それをしっかり棲み分けするようにしました。余裕が出来てからは1、2、3というような見出しをつける事で、答案の見栄えにも気をつけました。 また、私はそれまで答案を書く際にいきなり書き出していたんですね。書き出していくと、途中でなんか違うなと思ってもそのまま書いてしまって、気がついたら結論が変わっちゃったりして(笑)。なので、答練の時にも下書きの段階で『考え方の筋道』を書き上げてから、構成をしっかり練って、書き出すように気をつけるようにしました。

個々の単語だけではなくて、全体を捉える力が短期で受かる力-松本

松本:論点に食い付く前に一端ちょっと引いて、全体の構成をよく考えて体裁を整えたということですね。そうするとすごくきれいな答案になりますよね。それで企業法が伸びたということですね。 個々の単語だけではなくて、全体を捉える力が短期で受かる力、あるいはセンスの良い答案を構成するのに重要なポイントだと思いますね。

鍛田:私もやはり基本、入門期が大切だと思います。これは自分の失敗談なんですけど、2008年の論文がダメだった時点で、2009年向けに勉強を開始する際に、「一通り勉強したので基礎はいいかな」と考え、応用期からやってしまったんです。勉強を開始したのも論文の発表を受けてからだったので、実質、論文式試験まで半年位しか無いということで、焦っちゃって。それで基礎の大事な単元などで抜かした部分もあり、不合格になってしまいました。その失敗を受けて、2010年向けは基礎からやり直しました。自分がわかる部分でも新たな発見があるかと思って、カリキュラム通りに勉強しました。それで今年は合格できたので、やっぱり基本に忠実ということが大切だと思いました。

松本:本日、皆さんには実際に使っていた教材をお持ち頂いていますので、見せて頂いてもよろしいですか。

重要なページだけをファイリングした自分で監修したテキストを作成しました。-岡

岡さんの監査論テキスト 岡:テキストにはポイントとなるところに緑のマーカーを引いて、そこを見れば全体が見えるようにしました。論文グレードアップ講座を担当されている太田先生のアドバイスで、その部分だけ読めば効率的に回せると仰っていただいたので。後、テキストそのままだと分厚くて本試験会場で試験前に全てを見返すの不可能だと思い、テキストの重要なページだけをファイリングした自分で監修したテキストを作成しました。

松本:論文が終わって、手応えはどうでした?

岡:監査論は論文式試験の一番最初の科目なので、スタートが大事だなと意気込んでいたんですが、いざ試験開始されたら去年まで4枚あった解答用紙が2枚しかなくて(笑)。少なくて探して、危うく手を挙げてしまうところでした(笑)。

徳田:私も探しました(笑)。

松本:例年4枚ですからね。落丁かなって(笑)。

鍛田:監査論はボリュームが大きいっていうイメージがあったので、足りないのかなって思いましたよね(笑)。

松本:実際、監査論が終わってどうでした?書く量としては少なくなったなとか。

岡:書く量が少なかったんで、これは考えさせる問題だと思いました。あと、問われている事が本当に基本的な論点だったので、答案構成が大事だなとも思いました。答案構成は、日々、論文グレードアップ講座で太田講師が理論問題集を使って指導してくださっていたので、最初はびっくりしたんですけど、いつもやっている事だなという感じでした。結果的にはよかったです。

松本:続いて、徳田さんの使用したテキストを拝見させてください。

徳田さんの財務諸表論テキスト 徳田:はい。今日持ってきたのは財務諸表論なんですけど、LECの論文テキストと論文グレードアップ講座の講義レジュメをファイリングしたものです。答練で新しい論点が出たら、その都度ファイリングしていきました。また、講義中に「ここが苦手」とか書き込んで、本試験までに見直したいところにチェックしておきました。最終的には苦手な論点も潰していけてたので、チェックしたところだけを集めて本試験会場には持っていきました。

松本:メインはテキストでそこから自分に不要なものを抜いていく感じですね。こうやって情報を集約していくことで、自分だけにあった教材ができますよね。計算科目はいかがですか。

徳田:今日は持ってきていないんですが、計算科目は答練をベースに学習していました。大体4回位は回すようにしていましたね。LECの簿記の問題ってすごく難しい論点も入っていて、他の予備校よりも難しめなんですよ。スパルタじゃないですけど、これだけ難しい問題をやっておくと、ちょっと安心というか、力も付くと思いました。

計算は答練の反復、理論はテキストベースで絞り込んでいく-松本

徳田さん 松本:徳田さんの場合、計算は答練の反復、理論はテキストベースで絞り込んでいくという感じですね。LECの教材だけに絞っても十分に合格できると感じていましたか。

徳田:十分です。LECの教材はすごく細かくて、どこよりも充実しているんじゃないかなと思います。理論も最新の改正が反映されていて、安心感がありますし。もちろん今現在もそうですが、私達が受験していた頃は最新の理論と古いものの過渡期で、そういった情報も講義ではどうして変わるのかという所から説明して下さったので。今年の論文って典型論点よりも考えさせるものが多かったんですけど、すごいヒントになったと思います。

何回もやっていくうちに自分の間違えるところって決まっているのに気づく-鍛田

松本:鍛田さんはいかがですか。

鍛田:私の場合、最初は答練を基に間違いノートを作ろうと思って一応作ってみたんですけど、どこにどれが書いてあるか途中から分からなくなって(笑)。一見、まとまっては見えるんですけど、自己満足で終わっているなって。それだったら、パッとみて分かるようにしようと考えたんですね。答練で解いた後はすぐに間違えたところを書き出して、解き直す時にもう一度整理して。何回もやっていくうちに自分の間違えるところって決まっているのに気づくんですよね。その情報を一元化するために、A4くらいの用紙に書き出して、本試験会場では2時間の休憩時間に全部の論点を回せるようにしようって考えたんです。 本試験会場で今まで1年間頑張ってきたことを思い出せるようにしようと思って。

松本:試験が近づくにつれて使用する教材を絞っていくという点は3人とも共通していますよね。情報集約と、その反復練習、あまり手を広げすぎず、与えられた教材をひたすら繰り返すということで力が付いてくるということですね。 私の入門講座でも計算はテキストの設例を繰り返すことだけを、理論に関してもテキストをベースに本当に手を広げない、と言う事を意識してもらえるようにしています。理論のアウトプットなんかは『一問一答』で十分なので。本当にシンプルなやり方です。でも、今日は皆さんに貴重なお話をお伺いして、成績上位で受かる人ほど立ち返って基礎が重要と気づいているんだと実感しました。 それでは最後に、成績上位者ということで合格後にアドバンテージのようなものがあれば、お聞かせください。

岡:法人の内定は合格発表前だったので、就職活動では特に感じた事はありませんでした。ただ、僕は現在LECの神戸本校で合格者アドバイザーとして働いているんですが、受験生の皆さんに監査論の勉強法を聞かれたりしています。(笑)

鍛田:私の場合は、合格発表前に内定を頂いていなくて、合格発表後に動いたんですが、既に大手の監査法人さんは応募を締め切っていまして、逆に中小の監査法人さんでは今年は採用無しという状況で・・・。一時は監査法人はダメだなと思って、一般企業にと動いていたんです。そんな時に、たまたま今度私が勤めることになっている監査法人の代表の方から直々に電話がありまして、「一度お会いしてくれませんか」とお話を頂き、ちょっとでもアドバンテージになればと思い、成績表を持っていきました。その当時はお会いする方が代表とは知らず、採用担当者の方だと思っていたので(笑)。成績表を見た代表の方には「この企業法1位はプラスになるよ」と仰って頂いて・・・後日、内定を頂けました(笑)。後になってその方と話していましたら「あそこであんな成績を見せられたら、採らざるを得ないよ(笑)」って。ちょっとはプラスになったのかなと思います(笑)。今はこんな時代なので、藁にもすがる思いで持って行って良かったかなと。

シンプルな勉強法が正攻法なんだ-松本

松本 翔LEC専任講師 松本:優秀な人材を欲しがるのは当然ですよね。 さて、本日は成績優秀者の方にお集まり頂きまして、勉強のやり方とか大変さとか、一筋縄ではいかないぞという部分も含めてお話を頂きました。貴重なお話、本当にありがとうございました。 総評して言える事は、公認会計士試験の学習において重要なのは基礎の基礎だということですね。往々にして細かい枝葉の知識だったり、応用論点の方が重要って思いがちですけど、結局、元を辿すと基礎的なところがあってこその応用論点というところがありますから。今日お伺いして改めて確信したのは、基礎的なところをいかに反復して繰り返すか、理論を馴染ませて、計算を繰り返し解く、そんなシンプルな勉強法が正攻法なんだなという事です。 それでは最後になりますが、皆さんの今後の夢というか、こんな会計士になりたいという想いがあれば、お聞かせ頂ければと思います。

岡:もともとコンサルティングに進みたいという想いで受験を始めた事もあり、合格して大手監査法人さんから内定を頂きましたので、そういった舞台でどんどん吸収していきたいと思います。最終的には会計士事務所っていうよりもコンサルティング会社で独立開業したいなと。友人に弁護士の方もいるので、そういった方と共同でコンサルの会計士としてやっていきたいと思っています。

徳田:私はあまり野望みたいなものはないんですけど(笑)、とにかく、周りに還元したいという気持ちが強いです。受験勉強するにもお金がかかるし、お金だけじゃなく、環境とか精神的にも、両親とかにすごくサポートしてもらったと思うんですよ。勉強というのは自分自身のことじゃないですか。でも、自分でそうやって知識を吸収しただけで満足しないで、社会とか周りの人に還元したい。勉強は自分のためだけど、一刻も早く自分のためじゃなくて、社会に仕事で還元できるようになりたいなと思います。

松本:ありがとうございます。最後に鍛田さんお願いします。

鍛田:私も最終的には独立開業したいと思っています。こういう業界ってどうしても男性が多くて、なかなか女性が進出しきれていない現状だと思うんですね。しかも地方だとなおさらで・・・。勝間和代さんじゃないですけど、地方から女性として発信していければと考えています。

松本:女性の社会進出はどんどん進んでいるので、国力を支える人材になって欲しいですね。ぜひ、公認会計士の資格を使って社会に還元していって下さい。 本日は短い時間でしたがありがとうございました。皆さんの末永いご活躍を期待しております。

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