精神科病院を舞台に、祖父や父らをモデルとして一族の歴史をたどった大河小説「楡家の人びと」は、日本の近代を重厚に描いて高く評価された。日本人移民の群像をとらえ、日本文学大賞を受けた「輝ける碧き空の下で」など、純文学の長編で力を発揮。明と暗を併せ持つ作家として活動した。
「どくとるマンボウ」シリーズは「昆虫記」「青春記」などが続き、作家遠藤周作さんの「狐狸庵」とともに「マンボウ」の愛称は多くの読者に親しまれた。また「さびしい王様」などの童話にも意欲的に取り組んだ。
98年に、父茂吉の生涯を10年がかりで4部作の評伝にまとめ、大仏次郎賞を受けた。阪神タイガースのファンでも有名で、エッセーに「マンボウ阪神狂時代」がある。
兄は精神科医でエッセイストとして知られた斎藤茂太氏。長女はエッセイストの斎藤由香さん。(共同)