今回は前回のエントリーの追記のようなものになりますが、ご容赦を。
10月18日河北新報朝刊1面「パンダ貸与 駐日大使前向き 仙台市長『子どもに元気を』」の記事に
奥山恵美子仙台市長の発言として、このように書かれています。
[ここから引用](前略)パンダ貸与の費用負担に関しては「今は具体的な条件以前の話。レンタル代を想定してお願いしているわけではない。多額の負担は被災地として難しい」と述べた。(以下略)[引用ここまで]
ちょい待ち。少し調べれば分かるデータも揃えず、概算もせずにただ「パンダ呼びたい」って言っちゃったんですか、お役人様? あきれたもんだ。
この発言には、現在のように仙台市財政がズタボロになってしまった理由の一端が現れています。
それは「採算お構いなし、着手後の検証なし、終了後の反省なし」
記事によれば、仙台市は、採算はまだ考えていないがとにかくパンダを呼びたいというわけです。「借金まみれ、予備財源なし」の自治体がこんなにいい加減に事を進めること自体が許されない話です。
仙台市が考えていないというなら、筆者がひとつ素人算数をやってみましょう。
上記引用で略した部分には、事実上の借り賃として上野動物園が中国に年間7,300万円払っていると書かれています。
以前のエントリーで紹介したことがありますが、ベテラン市議氏の概算によれば、仙台市では
「100億円の経済活動で市税1億円の収入があると考えられる」のだそうです。
つまり、借り賃を全額市税で払うとすれば、パンダによる経済効果が毎年73億円なければならないことになります。参考までに、ベガルタ仙台の経済効果は40億円/年程度とのこと。
借り賃以外にエサ代(中国から輸入せねばならない)、飼育ノウハウを持つ人の招請費用、などを考えると、毎年80億円は必要でしょう。ベガルタの2倍の経済効果、パンダちゃんは果たしてそんなに稼いでくれるでしょうか?
採算度外視みたいなことを言いながら「多額の負担は被災地として難しい」というのも矛盾した話です。この手の甘えた話は、日本国内でならまだ通用するかもしれませんが、事は中国も絡んできます。借り賃は表向き「野生動物保護への協力金」名目である以上、減免は期待できません。
そもそもパンダを借りてくるなんて話、誰が言い出したのでしょうか? ネット上では「野ダメや取り巻きが中国との関係改善のために、復興費用増額とバーターで仙台市に押し付けた」なんて説も出ているようですが。案外いいところを突いているようにも思えます。
ともあれ、内外に公言したからには、われらがマダムの責任は避けようがありません。復興事業の一環としてやる以上、今までのように「ザル事業、あとは野となれ山となれ」では済まされません。被災者、市民の暮らしがかかっているのですから。
潔く撤回して、引責辞任なさるべきだと重ねて申し上げておきましょう。
2011年10月18日
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貧食カレーマスターさんにちょっと異議を。
八木山動物園の入場料は、大人400円、
小人100円です。仮に大人と子供が同人数
入場するとすれば、入場料収入だけで7,300万円
を回収するためには、年間30万人増加
すれば達成できます。
上野でも神戸でもパンダ効果でそのくらいは
入場者は増えています。もっとも、昨年の入場
者が50万人弱の八木山動物園で30万人の増
加は無理だろうけど、その1/3程度の増加
は見込めると思います。
入場料の何倍かの園内での飲食代や駐車場料金
・交通費を考えれば、パンダは充分採算が合う
と考えるのが妥当でしょう。ましてや、子供達
が望んでいるのであれば反対するのは如何かと。
なるほど考えてみれば、動物公園の入場料は直接市に入るわけですから、経済効果云々は誤りということになります。アンパンマンミュージアムとはその点が違います。失礼しました。
さて、数字の話に入る前に、「果たして子どもたちがパンダを望んでいるのか?」という疑問があります。
確かにパンダが初めて来日した時には日本中が白黒に塗り分けられるような大ブームがあったわけですが、今や「何を差し置いても見たいもの」ではなくなっているように思えます。まあ私のように童心を失って久しい人間の意見ですから、どこまで的を射ているか疑問ではありますが。市長・仙台市当局も子どもたちに意見を聞いたわけではないようですし。
入場者が年間30万人増える、というのはなかなか難しいと考えます。
確かに神戸・王子動物園の入場者数はパンダが来た年には倍増(98.5万人→198.8万人)していますが、10年間の平均を取ると140万人/年程度との事。つまりパンダ効果は入場者数1.4倍増程度ということになります。近畿圏には神戸の他に和歌山・白浜にパンダがたくさんいる動物園がありますから単純に比較はできないにせよ、増加分は20万人程度と考えます。
それに集客を支える人口の問題も考えねばならないと思います。
首都圏の人口は3,667万人('10年時点)、近畿圏は2,092万人('08年時点)、それに対して東北6県は963万人('11年9月推計)。やはり神戸の半分程度の20万人増ぐらいと考えるのが妥当では。
パンダ舎の新築費用、飼育担当者増員といった初期コストもかかります。飲食代・駐車場使用料金などの収入を考慮しても、初めは何とか採算が合うが数年後には赤字、となるのではと危惧します。
市長・仙台市当局には、きちんとコストの予測を公開した上で、復旧復興の中でパンダをどのように位置づけるのかを市民にきちんと説明する責任があると思います。
(参照サイト http://money.smart-ness.net/674.html )
(引用開始)
期待してます
柿沼としかず議員は、私の最も信頼している議員のおひとりです。
柿沼議員は市議会会派「新しい翼」の会長として、市政の進展と議会の運営と改革に中心的な役割を担われ、多大なご尽力とご支援をいただいております。
誠実にして温厚なお人柄とあいまって積極的に精励される真摯さに広く人望を得られておられます。
とくに、「新仙台市立病院」や「仙台水族館」の実現などの課題にまっすぐに情熱をもって取り組まれています。
私は柿沼議員よりいただいております提言および、提案をしっかり受け止め、施策などとして、実現に努めてまいりたいと存じます。
今後とも、見識、経験を存分に活かされ、更なるご活躍、ご発展をご期待申し上げますとともに、皆様の一層のご懇情とご支援を切に希望する次第です。
(引用終了)
と書いたのは、2ちゃんねるで「御代官 烏山様 左翼勢力、利権漁り市議と共謀し、真正保守の前代官を追い落とした御存知悪代官」と揶揄されたマダムのび太です。
経済学では乗数理論というものがあり、国民所得は直接支出した金額の乗数倍だけ増えるということが知られています。ここで乗数理論については論じませんが、現在の日本では乗数は約1.7と推計されています。
つまり、パンダを借りてくることにより増えるであろう入場料収入や交通費・グッズの売上の約1.7倍だけ仙台市民(あるいは宮城県民)の所得が増える事になります。震災からの復興は、こういう所得の積み上げから実現していくもので、被災者に対する金銭のバラマキからは実現しないことを肝に命ずるべきです。
地下鉄東西線も建設しないよりはしたほうが良い。開通後黒字が見込めないのなら、どうするかはその時に考えればよい。
行政の借金は返すことを考えるから思考が停止してしまうのです。利息さえ払えていれば、いずれ余裕があるときに返せば良いのが個人の借金との違いです。
千年に一度の未曽有の国難に遭ったのが、今回の震災です。震災前の考え方は一度リセットしたほうが良いのではないですか。
「ここで乗数理論については論じませんが、現在の日本では乗数は約1.7と推計されています。つまり、パンダを借りてくることにより増えるであろう入場料収入や交通費・グッズの売上の約1.7倍だけ仙台市民(あるいは宮城県民)の所得が増える事になります」というくだりを読んであるジョークを思い起こしました。
**************
「マルクスとエンゲルスは科学者であったろうか?」
「いやそんなことはない。もしそうなら彼らの理論を動物実験したであろう」
者かどうかは、どちらでも大勢に影響はないけ
ど、乗数は国民所得勘定や産業連関表などで統
計的に得られた現実だから・・・。
乗数効果や産業連関表に関して、分からなさすぎるので色々検索掛けたら、青森県の文書にこんなのがあって、
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kikaku/tokei/files/iotebiki.pdf
分析事例として例えば、「青森県において、建設部門へ100億円の公共投資(用地補償費等を除く)が 行われた場合に、県経済への波及効果はどのくらいか。」というのがあり、直接効果100億円+第1次生産誘発額29.1億円+第2次生産誘発額27.2億円=156.3億円、というものがありました。
仰る乗数の1.7というのは、上記のような考え方によって弾き出された各分野の平均値のようなものでしょうか。だとすると、今回のパンダの場合、中華人民共和国政府へ払うレンタル代は公共事業のように地域に還元される訳ではないので、実際の経済効果は乗数効果で言われるよりも弱いという事はないのでしょうか?
ただ、「地下鉄東西線も建設しないよりはしたほうが良い。開通後黒字が見込めないのなら、どうするかはその時に考えればよい」とまでは震災前の仙台市さえ言ってなかったと思います。
乗数理論は初耳ながら、中身も示さずに「統計的に〜だから」という主張は、「社会主義は科学的だから正しい」という主張とさして変わらぬように思えます。
パンダ問題は経済効果だけで論じるべきではないでしょう。外国の希少動物を連れてきて冷暖房完備で飼育するというのは環境面から考えれば百害あって一利無しです。
「統計的」と冠せられた話を頭から信じてかかるわけにはいきません。有名なところですと、「米西戦争の間、海軍の死亡率は1000人につき9人だった。一方、同期間のニューヨーク市の死亡率は1000人につき16人だった。海軍はこの数字を使って海軍に入ったほうが安全だと宣伝した。」といった話があります。オチは皆様ご存じですよね。